
監督のパスカル・プリッソンはアドベンチャー番組やスポーツドキュメンタリー番組の監督、脚本を手がけ、数多くの野生動物のドキュメンタリー作品を製作している。本作はプリッソンの初長編監督映画。
11月に主演のMASAIの戦士、メロノ役のマイナ・マコと親友ロモトゥーン役のパルカシオ・ムンテットが来日していて、その模様を追ったTVの特集が、とても面白かったらしい。
マサイ族の人々は、映画もTVも見た事がないし、“演技”するという事が理解出来ず、そこから説明して実際演技が出来るまでは大変だったとか。
そしてマサイの戦士たちには“弱者”という概念もないので、みんなが“弱者”を演じるのを嫌がったとか。その話を聞いて、とても観てみたいと思った。
予告編を見ても「みんなちゃんと演技してる!?」と、それ自体で驚いた。

黄金色に輝く果てしない草原を、伝説のライオン“ヴィチュア”を探し求め、ただどこまでも歩き続けるマサイの戦士達。
その歩く姿に見惚れてしまう。早歩きで歩いているのだけど、少し飛んでいる!?
体がバネのようで、自然と歩くだけで弾んでいる!
とにかく体、肉体がただそれだけで美しく、彼等の体を眺めているだけでうっとり。
その美しい体に、白い泥水のような物を使って描く縞模様がよく映えて、まるで野生動物のよう!あの縞模様は、シマウマか他の動物の擬態なのか、陽の光に紛れて猛獣から身を隠す為なのか? どちらにしても目立つ気がするけれど、その模様の美しさにも息を呑む。
あの足の複雑で美しいラインを、一体どうやって描くのかと思って、自分の足を指で触って試してみたら、足や膝の骨に沿ってなぞられているのだなという事がわかった。だからあんなに簡単に、体を美しく見せるラインが描けるんだね!

大きく穴を広げた耳たぶを飾る沢山のピアスやイヤリング。
カラフルなビーズのネックレスや装飾品。
それらが、老若男女、みんな違うデザインで、とってもおしゃれ!
顔が小さく手足が長い、均整の取れたプロポーションは、スーパーモデル並!
体脂肪率3%、人類で最も美しい肉体、ゴージャスな装身具、そして神秘的な儀式と習慣から、“サバンナの貴族”とも呼ばれているらしい。

そんな美しいマサイの戦士達の姿を見ているだけでも満足してしまう。
ストーリーは、干ばつ続きの村を救う為、雨乞いの儀式で使う“ヴィチュア”と呼ばれる伝説のライオンを探しに幼きマサイの戦士達が旅に出るというシンプルかつストレート。
ストーリーが単純な為に、展開が少し遅く感じる。
環境ビデオかドキュメンタリー映像を観ているような気分になってくる。
それでも一つ一つのエピソードや、マサイの部族達の生きる様を観ているだけで充分楽しめる。
印象的だったのは、誰かが話をみんなに聞かせる時に「じゃあ話すよ」と言うとみんなが「オイ〜」という掛け声をかけること。話の合いの手、相づちに「オイ〜」、「オイ〜」と応えるシーン。
興奮した時の「ヴヴォー」という低いうなり声とか、儀式の時の歌や踊りがとても神秘的。
映画は本当に“マサイの戦士達”にだけスポットを当てているので、野生動物がほとんど出てこないし、あまり映らないのが残念。あとは、もう少しマサイの戦士の身体、全身をもっと隈無く見せて欲しかったかも。
マサイの戦士達来日の模様を、公開日が近づいたらまたTVで放送してくれるかな?
その模様を見るのが凄く楽しみ。

マサイの皆さんの衣装とアクセサリーがとてもステキでしたね。
良い!と思うとすぐじぶんのものにして身に着けるところが印象的でした。
フィクションとはいえマサイ族のシンプルな生き方に感動すら覚えました。いろいろなものが邪魔してあんなふうには生きられないものです。
本当に身につけている装身具が素敵。そして何よりも体その物が美しい! 見惚れました〜。生マサイ戦士に会ってみたいです。
ナカムラ ユエさま。
戦士達は家畜の牛を野生動物から守る男達の事で、ほとんどの人々は牛飼いで暮らしているそうですね。
メノロが彼女を思い出してにやける笑顔が忘れられません。