
愛より強い旅 サウンド・トラック
監督の分身とも言える主人公を演じるのは、「ガッジョ・ディーロ」「Children of the Stork」に続いてガトリフ作品3作目となるロマン・デュリス
パリに暮らすザノ(ロマン・デュリス)とナイマ(ルブナ・アザバル)は、ある日ザノの両親が生まれた国、“アルジェリアに行こう!”と思い立つ。アフリカにルーツを持つ移民の子であるナイマと共に、ウォークマンだけを持ってルーツを探す7,000kmの旅に出る。
とにかく音楽漬け、音楽が生活、生きる事と密接に結びついている2人。
常にウォークマンを身につけ、お互いのイヤホンを交換したり、1人陶酔し踊りまくる姿に憧れと羨ましさを感じた。
そこまで入り込める物、いつでもどこでもウォークマンさえあれば1人陶酔の世界へと旅立てる彼等が眩しく見える。
そして、パリ→ラ・マンチャ地方→セビリア→アルメリア→ナドール→ウジダ→アルジェと旅する間中、その地方の音楽と人々とふれ合いながら、自己のルーツを探り見つけていく。
劇中で使われる音楽の大半はトニー・ガトリフ
ミニマル・テクノ、フラメンコ、アルジェリア移民のブルース・ライ、イスラム神秘主義のヒーリング音楽・スーフィー(ジン“精霊”を媒介に人々を治癒し、音楽やダンスを通じて神に通じる道を探究する「踊る禅」とも言われる)、等土着の音楽に包まれて本当にその地その地を旅している気分になってくる。
特にクライマックスで流れる、このスーフィー音楽を元にガトリフ監督が独自にアレンジし、グナワの楽器(鉄製カスタネットのカルカベやベースに似た三弦楽器ゲンブリ)を用い、新たに創造されたスーフィー音楽は圧巻。
観ている時は監督のオリジナルな音楽とは思わなかった。ここがこの映画の全てなのではないかと思うシーン。

観る前と見ている間途中までは、ロマン・デュリス演じるザノが主人公だと思っていた。
見終わると、映画の印象はルブナ・アザバル演じるナイマのものになっていた。
ジプシーの血が流れながら、どこへ行っても疎外感を感じるというナイマのむき出しの感情が痛くて辛い。
とにかく、音楽が核となっている映画なので、音響の良い映画館か、シネ・アミューズのようなこぢんまりした小屋のような場所で、音楽に身を委ね、スクリーンの中のザノとナイマと共に、旅を体感する映画。
音楽がいつも身体の中に流れている人に。

ジプシーが辿った壮大な旅と民族の多彩な音楽の起源に迫ったドキュメンタリー『ラッチョ・ドローム』と、国際的な成功を収めるバンド、イ・ムヴリーニを主演に迎えた『イ・ムヴリーニ』の2タイトル収録。




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私もちょっと奔放な彼らがうらやましかったですー。
こんにちは! 音楽好きの人にはたまらないのでしょうね。2人の設定がそんなに若くもないというところがまたリアルで良かったです。
TB返し、ありがとうございました!
パワフルな民族音楽にどっぷり浸かって、
スクリーンの中の彼らと共に気まま旅♪ができました。
観ている方も心をオープンにする事がこの映画を楽しんで、真の意味で理解する秘訣なのかもしれませんね。伽羅さんのレビューを読んで、またこの映画を観てみたくなりました♪