
英国期待の若手作家ジョナサン・トリゲルの受賞小説を、『ダブリン上等!』のジョン・クローリーと脚本マーク・オロウのコンビが映画化。
少年の頃に起こした大罪。その罪はいつか赦されるのか? 彼が過去にした事を知った時、周りの人間達の、彼に対するそれまでの感情は変わるのか?
過去に罪を犯し、生まれ変わろうとしている青年ジャック。
人生の半分以上を刑務所で過ごした彼にとっては、大人になり出所した今、外界の全てが初体験。
初めてのクラブ、デート、恋愛。
普通に出逢い、友人になり、恋人になった人に、もし犯罪者という過去があったら……。
それも、国中を敵に回すような大罪だったら。
更生し、生まれ変わり、普通に暮らす事を認められ、新しい人生を生きて行けるのか?

(c)THE WEINSTEIN COMPANY ,FILMFOUR CUBA PICTURES
彼が体験するひとつひとつの出来事が、とても丁寧に描かれるので、すっと感情移入して行きます。
まるで少年のまま大人になったような彼の仕草、はにかんだ笑顔に惹き付けられます。
彼のとまどい、喜び、悲しみ、苦悩を、彼と一緒に体験して、彼と同じようにうちひしがれて、絶望を味わう。
彼の気持ちと、周りの人々が彼を恐れる気持ちの両方がわかるので、結局どうしたら良いのか、良かったのか、答えは出せません。
ただ、ジャックという青年を知れば知るほど、彼が犯した罪との印象が繋がらなくて、彼を赦し応援したくなります。
彼が過去にした事は、最後に明かされますが、それもはっきりとは示されません。
おそらく、こうだったんだろうなとは推測できますが、それをワイドショウ的にまず知らされたら、多くの人がそうであるように、理由なくただ彼の罪を憎み、彼自身を攻撃していたかもしれない。そういう人間の本能と、再生する力、信じる心、人間の奥底に眠る色んな感情を掘り起こし、問いかけられる映画でした。
主演のジャック役にはロバート・レッドフォード監督の『大いなる陰謀』の新星アンドリュー・ガーフィールド。ジャックの後見人テリーを演じるのは、『マイ・ネーム・イズ・ジョー』の名優・ピーター・ミュラン。
ジャックを息子のように愛し見守る一方、実の息子とはぎくしゃくしてしまう父親像が実にリアルでした。息子の焼きもちの焼き方も、イタいけど、よくわかります。
ジャックが恋するミシェル役のケイティ・リオンズは、グラマラスで母性の象徴のような迫力があって、とても良かったです。
11月、渋谷シネ・アミューズほか全国順次ロードショー
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