マドンナのマドンナによるマドンナのための映画を期待して観たら肩すかし!? マドンナの匂いを全く感じないということは、映画監督としては大成功なのかも??
ロンドンの片隅。ミュージシャンを目指すウクライナ移民のAK。バレエダンサーを夢見るホリー。アフリカの貧しい子供たちを救う事を夢見るジュリエット。
マドンナ自身を投影させた三人の若者を主人公に、成功への渇望や青春の葛藤、他民族国家や貧困問題を鮮やかに描き出す。
50歳の今なお進化し続けるスーパースター、マドンナの初監督映画。
マドンナというと、ポップス界での成功や、セックスシンボルであったことがまず思い浮かびます。その衣装や演出方法には驚かされてきました。
新曲がでればビデオが必ず話題になるし、ファンでなくてもなんか気になる存在。
そんなマドンナが念願の映画監督デビューということで、こちらも「マドンナの」映画として興味津々。
映画から受けた印象は、意外にも、シンプル、ストレート、真面目、純粋、といったもの。
サプライズを期待していたら物足りないくらい、きちんとしていて観やすい映画でした。
奇をてらったところがなく、はじめから終わりまで、とても丁寧に綴られて行くこの作品からは、「ただの映画監督としてデビューしたかった」というマドンナの映画への強い想いが伝わってきます。
SM調教師のバイトとか、ストリップクラブとかが出て来ても、全然エロティックさはなく、むしろピュアなカンジ。本当はもっとドロドロしたことがあったんだろうなと思うけど、その辺りとてもサラッとしていて、もっとドロドロが観たかったかも。でもマドンナって、実はこういう人間だったんだ、となんとなく彼女の全てがわかったつもりになってしまう映画でした。
AKを演じるユージン・ハッツは、ジプシーパンクバンド“ゴーゴル・ボルデロ”のヴォーカル。2005年に出演した『僕の大事なコレクション』も、ユージン・ハッツの視点とナレーションで綴られる映画でした。今回マドンナはAK役をユージン・ハッツでアテ書きし、彼以外ではこの映画は考えられなかったというほど惚れ込んで、出演をオファーしたんだそうです。
若きマドンナを彷彿とさせる二人の女性を演じるのは、新進女優のホリー・ウェストン、ヴィッキー・マクルア。この二人が、本当にマドンナを2で割ったよう! 特にジュリエット役のヴィッキー・マクルアは、マドンナと顔立ちがよく似てるなと思いました。
リチャード・E・グラントは若者たちにインスピレーションを与える役どころを独特の存在感で演じていました。
前夫のガイ・リッチーのパクリ(?)というかパロディのようなシーンと、マドンナの曲がかかるシーンは、マドンナの遊び心が見えてニヤリとさせられました。
マドンナ 永遠の偶像(アイコン)
マドンナ真実の言葉
イン・ベッド・ウィズ・マドンナ [DVD]
このドキュメント映画の中で、この頃マドンナがお気に入りだったアントニア・バンデラスのことを、「セクシーでサイコーなの!」とか女の子同士でキャーキャー言ってる姿がとってもキュートでした。