フリガナがいる邦題ってどうなんでしょう? でもニュアンスはよく伝わります。
余命三ヶ月と告知された31歳のフォトグラファーが、自らの死と向き合い、それをどう受け止めて最期の時を迎えるのか。とても興味深く観ました。
フランソワ・オゾン
主演のロマン役、メルヴィル・プポー
ジャンヌ・モロー
あとはロマンと共に、死を見つめる静かな時を追体験していきます。



恋人に別れを告げ、家族には真実を告げられず、たった1人で死を見つめ、その時を待つ。
その孤独さに胸がつまります。
とてもあっけなく、だからこそ深い悲しみと生命の力強さを逆に感じさせ、死に行く事への希望を残すエンディング。
それまでに彼がした事の全てに共感しながらも、「もし自分なら」と考えてみる。
映画の中の主人公、ロマンという役柄の死に様を追っていくうちに、その人それぞれの生き方があるように、その人1人1人の死に方があって当然なのだと思えました。
最期の時に、病院のベッドで家族に見守られて逝く必要はないのだ。
死んでいく時も、人はたったひとりなのだから、と。
生への執着と性への渇望、それが強く激しいほど、死の影が色濃く浮かび上がる。
主人公が死を意識するようになってから、子供時代の自分の幻影が頻繁に現れるようになります。
なぜ少年時代なのか? 一番生きる力に溢れていた時なのかもしれません。
鮮明に振り返る子供時代は、とても眩しく、哀しいけれど、ついにその少年時代の自分自身とバトンを渡し合い、彼は初めて死んでいく希望を見出せたように思えました。
海、草の生える砂浜で、潮の満ち引きのように、太陽の満ち欠けと共に土へと還っていく時間の永遠に、死も生の一部であって、そんなに恐い事じゃないよ、と思わせてくれる、魂が透き通っていくような映画でした。
日活 (2006/10/06)
売り上げランキング: 4001
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愛する人の喪失を描いた、死を描く三部作の第一作。
多彩な上質の作品を次々と生み出すフランソワ・オゾン監督はまだ39歳!
「海を飛ぶ夢」のアレハンドロ・アメナーバル

フランソワ・オゾン監督「まぼろし」以前の作品のBOX化。『海を見る』『サマードレス』『ベッドタイム・ストーリーズ』『クリミナル・ラヴァーズ』『アクション、ヴェリテ』他、全9作品を収録。