メキシコ映画ですが、スペイン語のセリフ以外は無国籍なイメージ。
停電に見舞われるある一日。登場人物は4人のみ。
全編白黒、ほとんど全てのシーンが団地の一室とそのキッチン。

14歳のフラマとモコの親友コンビ、オーブンを借りに来た隣人リタ、ピザの宅配人ウリセス、という4人の主人公達のキャラクターと取り合わせが新鮮で、セリフとシチュエーションの面白さ、ポップな音楽とテンポの良い編集で、退屈に間延びしそうなストーリーを飽きさせずに見せます。

男の子2人の会話がくすぐったくて懐かしいようで眩しくて可愛かったです。
2人がやっているHALOというXboxのシューティングゲームが、白黒映像だとなんとも不思議な感じがしました。
一番印象的だったのは、秒を刻むように常に微かに聞こえてくる水滴の音。
停電で何も出来ないという、退屈で永遠に感じるはずの時間感覚を、余計長く感じさせるような、逆に短く早く感じさせてくれるような、とても不思議な時間の進み方を感じました。
冒頭シーンの、まるで曇りの青空のカラー映像に見える、切り取られた白黒の町の風景、遠くに聞こえる町の音がとても美しく心地良かったです。
平凡な日常の中にふいに訪れるきらめきとか、一瞬のときめきのようなものを、リアルさの中に地続きで見せる。この作品が長編映画初となるフェルナンド・エインビッケ監督の映像、脚本センスの良さを感じさせます。
エンドクレジットでは、エインビッケ監督が敬愛する2人の監督、ジム・ジャームッシュ
メキシコ・アカデミー賞で11部門制覇したそうです。これからどんな作品を撮っていくのか、とても楽しみな監督です。
エンドロールの最後に、日常からこぼれ出した一日に後始末をつけるべく、最も現実的な存在が映画を締めくくります。このラストがあることで、この映画への印象がもの凄く変わってくると思います。これから観られる方は、エンドクレジットの最後まで、席を立たれませんように!

いわゆるメキシコっぽい風景や食べ物も出てきませんが、だからこそかえってメキシコに興味が湧くような映画でした。
メキシコのピザ宅配はスクーターじゃなくてバイクなんだ、とか。
あと、なんでもいいからピザを早く食べてくれ


アヒル隊長大好きです


こちらこそ、コメント・トラックバックありがとうございます♪
「ダック・シーズン」、不思議と心地よい映画でしたね。
また是非覗いてやって下さいね☆