2006年11月24日

『暗いところで待ち合わせ』

kuraitokoro.jpg盲目の女性と、彼女の部屋に忍び込んだ殺人事件の容疑者の青年が、密かな静けさの中で、互いの存在をかすかに感じながら同じ家に暮らす日々。後半、サスペンス要素が強くなってくると、そこからまるで別の映画のように印象が変わりますが、田中麗奈さんの瑞々しく自然な演技と存在感、チェン・ボーリンさんの朴訥な佇まい、二人の間の空気の緊張感が、次第に心地よく感じてくるような、静かだけれど、底から湧いてくる生命力のような力強さを感じさせる映画でした。

田中麗奈さんは、ピュアな存在感と芯の強さを感じさせる意志の強い顔つきがとても印象的でした。一人の時に発する、つぶやきか独り言のような囁き、「あう…」「へ…」「ふぅ…」という言葉にならない言葉がとてもリアルで自然。演技であんな声が出せるなんて! とびっくりしました。

田中麗奈さんは、元気溌剌で生き生きとしてキラキラ輝く瞳がとても印象的な女優さんですが、今回は盲目の女性という役柄のため、終始伏し目がちで、ぼんやりとしたような表情が多く、とてもリアルに視覚障害を表現されていたと思います。

暗いところで待ち合わせ 暗いところで待ち合わせ
原作はミステリー、ホラー作品の短編の名手として若者から熱狂的人気を誇っている、乙一さん。
原作は読んでいませんが、天願大介監督が舞台挨拶で「目の見えない女性と、彼女から身を隠し同じ家で暮らす青年の話を、映像化するのはとても難しかった」と話されていたように、原作では恐らく心の声が描写されていくのではないかと思われます。それを、二人が同じ部屋にいるシーンでは、「“ただ、二人がそこに居る”こと、そのままに表現しました」と言われた通り、二人のシーンはただただ無言で、そこに居るだけ。たまにすれ違い、互いの存在を空気に感じながらも、お互いに決して侵食せずに、二人でいても独りであること、一人だけど二人でいることの心地よい関係に、観ている方も息を詰めて見守りながら、次第に引き込まれて行きます。

kuraitokoro01.jpgチェン・ボーリンといえば、『藍色夏恋』、『シュガー&スパイス 〜風味絶佳〜 』の彼ですね! 日本語がとても上達されていましたね。舞台挨拶でも流暢な日本語で挨拶されていました。これからどんな役者さんになっていかれるのか楽しみです。

佐藤浩市さん、井川遥さんが意外と井川な役柄で出演。
宮地真緒さんの演じた、ミチルの親友カズエの存在や行動・台詞が、女の子同士の微妙な関係をとても上手く表していたと思います。
あの台詞が原作のままなら、乙一さんって、女性なのかな? と思ったシーンがいくつかありました。

暗いところで待ち合わせ@映画生活

公式サイトは文章を全て音声(麗奈ちゃんの声かな?)で読み上げてくれます♪

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posted by bakabros at 23:12 | 東京 ☀ | Comment(6) | TrackBack(25) | 日本映画
この記事へのコメント
昨日王様のブランチでやっていてこの映画の存在を始めて知りました。
予告編をみると…とっても気になりました。
みたいけれど、DVDでいいかしら!?
と思っています。まだ「プラダを着た悪魔」もみれていないものですから欲張るわけにはいけません。
なのでまずは原作から。
Posted by ゆき at 2006年11月26日 14:29
ゆきさま。こんにちは♪
独特の緊張感と空気感のある映画でした。
原作小説、面白そうですよね! 乙一さんの小説は読んだ事がなかったのですが、他の作品も読んでみたいと思いました。
Posted by bakabros at 2006年11月26日 17:34
乙一さん、今日ご結婚らしいですね。
お相手は、押井守監督(アニメ界の巨匠)の娘さんでライターをしている方らしいです。
井川遥さんといい、この映画がらみでのおめでたが重なりましたね。
乙一さん、どんな方なのか見てみたい気がします。
Posted by ゆき at 2006年11月26日 22:08
ゆきさま。
乙一さん、ご結婚されたんですか! 男性だったんですね(^▽^;) 乙一さん、見てみたいですね〜。
映画公開日に、なんともおめでたいニュースですね♪
Posted by bakabros at 2006年11月26日 23:16
TBありがとう。
沈黙の中の、ふたりの演技が良かったですね。
Posted by kimion20002000 at 2007年07月07日 22:30
kimion20002000さま。
台詞のないシーンが多いので、退屈しそうかと思いきや、その沈黙にどんどん引き込まれて行くような映画でした。
Posted by bakabros at 2007年07月08日 09:30
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