
見終わってからも、このストーリーが全くのフィクションなのか、どこまでかはノンフィクションなのか、という事が引っかかってくるような映画『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』(BROTHERS OF THE HEAD)。
ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド スペシャル・エディションドキュメンタリーフィルムのような映像と演出を多様し、トムとバリーの存在や、“ザ・バンバン”というロック・バンドの成功が、さも事実であったかのように思わされ、幻惑されて行きます。
それが狙いなのだと思いますが、とにかく混乱させられます。
特に劇中劇として挿入されるケン・ラッセル監督の未完製作“Two-Way Romeo”には、すっかり信じさせられました。『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』も、こういう風に普通のドラマ・映画として撮った方が良かったんじゃないだろうか、とか色々な事を考えさせられます。
18歳の時、父親に売り渡されたトムとバリー。“ザ・バンバン”というロック・バンドとしてセンセーショナルにデビューするが、女性記者ローラとトムが恋に落ち、二人で1人・一人で二人でもある兄弟の関係に次第に変化や亀裂が生じてくる。
このローラとトム、バリーの微妙な三角関係の辺りをもっと突っ込んで欲しかった気がしました。
監督は『ロスト・イン・ラ・マンチャ』、『 メイキング・オブ・12モンキーズ<未>』などこれまでドキュメンタリーを手がけてきたキース・フルトン&ルイス・ペペ。
顔も似ている!?恋人同士☆脚本に『ローズ・イン・タイドランド』、『イン・ディス・ワールド』『ロスト・イン・ラ・マンチャ』、『ラスベガスをやっつけろ』のトニー・グリゾーニ。
バリー役のルーク・トレッダウェイとトム役のハリー・トレッダウェイ、主演の二人も一卵性の双生児。意外にも、初めは兄弟俳優をキャスティングする予定はなかったとのこと。オーディションに来たうち、双子はこのトレッダウェイ兄弟一組だけだったそうです。
ハリーはイアン・カーティスの伝記映画“Control”に出演しています。これからが楽しみな二人です☆
「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」オリジナル・サウンドトラック Feat.ザ・バンバン 主演の二人が歌う“ザ・バンバン”の曲はどれもとても印象的で耳に強く残ります。映画の途中から、二人の本物の魂の叫び声のように聴こえて来ます
原作は『A.I.』の原作など、SF文学の巨匠ブライアン W.オールディス
ロスト・イン・ラ・マンチャ『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』の後には、まともなドキュメンタリー映画が観たくなります。



