2007年02月26日

『サマリア』

ひと呼吸ごとに生きる事の喜びと痛みを感じる年代、少女の頃の親友との関係。
まるで世界にふたりしか存在しないかのように、憧れて、独占し、一体になりたいという願望。
そんな子供のままの火遊びの結果に自分なりの決着をつける為、また闇の世界へと歩み出す、遺された独りの少女。チェヨンとヨジンと父親の、どこへ行き着くのかわからない三重奏に冷や汗が出てくるような、胸に強く迫ってくる映画。『サマリア』

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第一章「パスミルダ」 インドの説話集でバスミルダという娼婦と寝た男が、その後仏教徒になったという話から、パスミルダ気取りで援助交際を続けるチェヨン(ハン・ヨルム)と、そんな親友を心配しながら見張り役をするヨジン(クァク・チミン)、2人の関係。

第二章「サマリア」 新約聖書ヨハネ第四章に登場する、名もなきサマリア人の女性のこと。独りになったヨジンがチェヨンの辿った道を自ら再び歩む、贖罪の旅。

第三章「ソナタ」 韓国の一般的な乗用車の名前。社会常識を持った韓国の成人を意味する。最愛の娘ヨジンがしている事を知り、やり場のない怒りと憎しみを父親(イ・オル)の視点から描く復讐の旅。

第54回ベルリン映画祭銀熊賞(監督賞)受賞作品。

色んな問題を提示し、「あなたはどう思うの? 答えを聞かせて」と監督に問いかけられているように感じる映画です。
でも、援助交際についての解釈とか、復讐心、人間としての善悪の基準について問いかけているように見えながら、結果ではなくてそこへ行き着くまでの心の変遷、自由な魂の解放に焦点を当てているからこそ、登場人物の全てに共感してしまうのだと思います。

ヨジンとチェヨンが銭湯に入るシーン、チェヨンがホテルの窓から笑って手を振るシーンと、印象的な場面は沢山ありましたが、ヨジンの父親が、幸福そうに見える家庭を持ちながら援助交際をする男の食卓へ踏み込むシーンと、その終わり方がとても強烈なインパクトがありました。この辺りの描き方がもの凄くリアルで、空恐ろしさを感じます。

チェヨン役ハン・ヨルムさんの、聖母か菩薩のような常に絶やさない微笑みがとても心に残ります。
ハン・ヨルムさんはキム・ギドク監督の『サマリア』の次の映画『弓』でも主演。監督の理想の女性像を体現出来る女優さんなのかなと思いました。

サマリア サマリアの少女
サマリア
サマリアの少女 映画のノベライズ本。

キム・ギドクの世界 〜野生もしくは贖罪の山羊〜 キム・ギドクの世界 〜野生もしくは贖罪の山羊〜
今、世界で一番注目されているキム・ギドクの世界をインタビュー、ルポ、評論、記事、対談で構成した日本編集オリジナル版オフィシャル・ブック。



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posted by bakabros at 00:57 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | 韓国映画
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映画『サマリア』
Excerpt: 原題:Samaritan Girl この映画、公開されたとき、二人とも可愛くて、特にチェヨン役の子が魅力的でいい、観たいと思いつつ見逃して、・・思い出したようにやっと観た・・・。 ..
Weblog: 茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり〜
Tracked: 2007-02-27 12:13

サマリア
Excerpt: やっと見ました!キム・ギドク発「サマリア」です。このDVDパッケージの写真エロいですね☆ 援助交際で二人分の旅費を稼い
Weblog: ○o。1日いっぽん映画三昧。o ○
Tracked: 2007-02-27 13:19
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