ママの遺したラヴソング スペシャル・エディション
学校へも行かず堕落した生活を送っていたパーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、長年疎通だった母の訃報を聞き、生家のあるニューオーリンズへ向かう。母の家には元大学文学部教授のボビー・ロング(ジョン・トラボルタ)と彼を慕う作家志望の青年ローソン(ガブリエル・マクト)が住み着いていた。母の友人である二人と、近所に住む温かい人々に囲まれて、次第に心を開いて行くパーシーだったが……。口が達者で生意気なパーシーと、頑固で皮肉屋のボビーは反りが合わず顔を合わせる度に口論になる。そして二人の間のいいクッションになるローソン。この三人の微妙な関係が、緊張感と、不思議に心地良い微妙な空間を生み出していました。
ニューオーリンズのけだるい暑さ、何をするわけでもなく集まる仲間たちとの意味のない会話。なんにもしていないのに密度の濃い、贅沢な時間と空気感がとてもリアル。友人達とただただ時間を浪費していた学生の頃の気分を思い出すような、生々しい臨場感があり、面白かったです。パーシーの父親についてのいきさつとか、母の家を廻る謎の一件はちょっともったいつけ過ぎで、考え過ぎてしまいました。もっと色んな事件が展開していくのかと思いきや、なあんだという感じだったので、ちょっと拍子抜け。
名著からの引用の数々の多さには、アメリカ人って本当に引用好きだなぁ! と思ってしまいました。ちょっと引用が多過ぎるので、もっと自分の言葉で語って欲しくなりました。
この作品でゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされたいうスカーレット・ヨハンソンですが、やけに若いなぁと思っていたら、2004年の映画でした!頭が良く、口が達者だけど生きることに不器用な等身大の女の子を生き生きと演じていて、とても魅力的でした。セクシーな役の彼女も好きだけれど、こういう普通の役柄を観るのは初めてで、とても新鮮。脚を開いて座るお行儀の悪さが、彼女にとても似合ってました。17歳位の役ですが、映画撮影時は19歳だったのでしょうか。今のセクシーさとはまた違う、若さ溢れる色気で、はち切れんばかりの丸っこい体つきもまたキュート☆ 同性でも見とれてしまいます。
ジョン・トラボルタはクセがありながらも、彼が演じている事が不思議になるような普通のおじさん役で、それが案外良かったです。ローソン役のガブリエル・マクトは知らなかったのですが、『リクルート』、『9デイズ』、『エネミー・ライン』等々、結構映画に出ていたんですね。
監督はシェイニー・ゲイベル。1969年生まれの女性監督。脚本も手掛けた本作『ママの遺したラヴソング』がフィクションの初監督作品。

原作はロナルド・イヴァレット・キャップスの小説Off Magazine Street。
ママの遺したラヴソング 日本語訳。
映画に出てくる、キーとなる小説『心の孤独な狩人』が読んでみたくなりました。
孤独な狩人―カーソン・マッカラーズ伝←これなのでしょうか。
原作者の息子でもあるブルース界の新星グレイソン・キャップスが、サウンドトラックに6曲、オリジナル曲を提供しているそうです。
『ブラック・ダリア』『マッチポイント』『アイランド』



