スーパーマンは、なぜ死んだのか?
1959年6月16日、ひとりの俳優がハリウッドで死んだ。
現在も未解決のまま“伝説”となった事件を独自の切り口からサスペンスフルに描き出す衝撃のミステリー。
映画を見る前まで、TVシリーズのスーパーマン役者の話だという事もよくわかっていませんでしたが、予告編がとても良く出来ていたと思います。
死の影とその裏に立ちこめるハリウッドの陰謀を予感させる予告編に興味を惹かれていました。
映画は、世界一有名なスーパーヒーローを演じる俳優ジョージ・リーヴス(ベン・アフレック)の苦悩と、彼の死の調査に乗り出した私立探偵シモ(エイドリアン・ブロディ)が、次第にハリウッドのタブーへと足を踏み入れて行く過程が交互に描かれます。
もっとハリウッドの内幕を暴き出すような、衝撃的な生々しいストーリーを想像していたのですが、その辺りは意外とサラッと描かれていました。サラッとといっても、血なまぐさい事件も出て来ますが、遠い国のゴシップ雑誌を読んでいるようで、どうもピンとこない感じ。アメリカではその辺り周知の事実なのかどうかわかりませんが、「そんな事もあり得そうだな」と素直に納得してしまいました。
共感も感情移入もしづらかったのは、そもそもTVシリーズのスーパーマンに思い入れがないからなのかもしれません。
長編映画初監督のアレン・コールターは、TVシリーズ『SEX and the City セックス・アンド・ザ・シティ』や『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』、『ミレニアム』、『Xーファイル』などのエピソードを担当をしていたTV界の精鋭監督。
事件の鍵を握る映画会社MGMの重役夫妻をダイアン・レインとボブ・ホスキンスが演じていますが、この二人が凄く良かったです。
ダイアン・レインは美しく年齢を重ねていて、とても魅力的に輝いていました。迫力ある存在感。
ボブ・ホスキンスも、裏の顔を持つ男の凄みのある演技がとても良かったです。
ベン・アフレックは本作でヴェネチア国際映画祭の最優秀男優賞に輝いたそうですが、元々彼が苦手なのもあって、なんだかずっと入り込めませんでした。
途中からエイドリアン・ブロディ演じる探偵シモの話になってしまったのが少し中途半端で消化不良でしたが、ジョージ・リーヴスがスーパーマン俳優としてしか認められず、俳優として新たなステップへ進みたいのになかなかそのチャンスがなくて苦悩する場面や、プロレス興業しか仕事の依頼がないとか、そういったハリウッドの裏側については興味津々で面白く観ました。
現在も未解決の事件なのでこういう描き方になるのは仕方ないとは思いますが、もう少し一歩踏み込んで、斬新な新説を提示して欲しかった気もします。
未解決事件の映画化という事でポン・ジュノ監督の韓国映画『殺人の追憶』を思い出しました。
『殺人の追憶』
ミクロマン ミクロアクション スーパーマン(映画リターンズ版)
TVシリーズのスーパーマンが死んだ時の、アメリカの子供たちへの衝撃の大きさに、改めてこのスーパーヒーローの偉大さを感じました。
映画「ハリウッドランド」オリジナル・サウンドトラック
オリジナル・サウンドトラック・スコア「ハリウッドランド」
エイドリアン・ブロディ、ベン・アフレック出演作品の感想記事
『キング・コング』『ジャケット』『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』