
大日本人アート&シナリオブック
大日本人オフィシャルガイド (日経BPムック)
「松本人志が映画を撮っている」それだけでもビッグニュースでしたが、公開まで映画の内容を全く明かさなかったり、2007年カンヌ国際映画祭「監督週間」部門正式出品など、もの凄い話題と注目を集めて興味津々でした。
最近はTVでコントを見る機会もなくなりましたが、ダウンタウンや松本人志さんのコントの、シュールで独特な笑いのセンスが面白く、好んでよく観ていた時期もありました。
前半、大佐藤にテレビクルーがインタビューしているという設定や、実際「大日本人」に変身するまでの過程を、じりじりと気を持たせて見せて行く展開には引き込まれていきます。「大日本人」に変身して敵と戦うシーンはまだなんとかついて行けますが、敵が現れるとまず出る妖怪辞典とか、要所要所に違和感がありました。
ドキュメンタリータッチでリアルに描かれる大佐藤の日常と、「大日本人」の戦闘シーンとにギャップがあり過ぎて、その不安定な感じのままどうなるのかと思ったら、ラストで急にコントになってしまい、異次元へ飛ばしてしまったのが残念でした。
防衛庁の特殊部隊が大佐藤の寝込みを襲撃するシーン、TVでちらっと見ていて、勝手にその裏にあるストーリーを想像して膨らまして期待してしまっていたのですが、なんてこともない意味のよくわからないシーンだったのでちょっとがっかり。「大日本人」という孤高のヒーローの表と裏という面白い題材を丁寧に描いて行くのかと思いきや、尻切れとんぼで落とし前をつけない終わり方には物足りなさと勿体なさを感じます。
休日の映画館には家族連れも目立ち、子供は小学校低学年から中学生、高校生、そして年配の方まで色んな年代が揃う客層で、それも意外でした。
小学生は時々(主に下ネタで)爆笑しながらも最後までじっと鑑賞していて、見終わった後も満足げな感じで、それもまた意外。
TVで今コントなどはやっていないと思うのですが、松本人志の笑いを受け止める素地があるんですね。
竹内力、UA、板尾創路、神木隆之介というキャストと、松本人志の組み合わせは面白かったです。特にUAさんの演技というか、普通に喋っているところを今まで観た事がなかったので新鮮でした。
もし松本人志さんがもう一本映画を監督するならば、今度は本人はスクリーンに登場せず、監督に徹して、作品その物をじっくりと味わってみたいなと思います。



