
2002年の『パニック・ルーム』以来となるデヴィット・フィンチャー監督作品。

犯人とおぼしき人物への迫り方、そして答えの見せ方が良かったです。どうしても犯人に辿り着けないという事が、こんなにも、1人の人間を悪魔のように思わせてしまうという、恐怖心そのものをヒリヒリとあぶられ、人間の暗部を覗き見しているような本物のスリルがあります。
淡々と描かれる謎解きよりも、ゾディアックに取り憑かれて夢中になっていく男達の心理描写そのものがサスペンスで面白かったです。

容疑者と近いと思われる人物の家で、グレイスミスが遭遇する感覚は、純粋な恐怖心からのスリルとサスペンスで、それがただの脅かしでないところも凄く良かったです。
ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr、クロエ・セヴィニーという渋めの個性演技派揃いのキャスティングも抜群。
未解決事件を映画化したブライアン・デパルマ監督の『ブラック・ダリア』ですが、なんとデヴィット・フィンチャーが当初監督するはずだったそうです。フィンチャー版の『ブラック・ダリア』も観てみたい気もします。
未解決殺人事件を描いた作品では、韓国映画『殺人の追憶』が秀逸ですが、それと同じくらい面白かったです。

映画でジェイク・ギレンホールが演じた新聞漫画家ロバート・グレイスミス著の原作。


ゾディアック デヴィット・フィンチャー版に先駆け(!?)2005年公開のアレクサンダー・バークレー版『ゾディアック』。
実録!!ゾディアック 〜血に飢えた殺人鬼の刻印〜 犯罪小説家、ローレンス・ブロックが専門家らの証言と再現映像を交えながら事件の真相に迫るドキュメンタリー。
『ハリウッドランド』の感想記事はこちら。
『ブラック・ダリア』の感想記事はこちら。