主人公のエメット・レイ(ショーン・ペン)本人だけでなく、周りの人間達もそれを公然と認め、そこに卑下する気持ちや嫌みなど、ネガティブな感情はなくて、むしろ自慢げにそう言う。
「俺は天才ギタリストだ」というセリフも何度もあるが、必ず後に「この国では」とか、「ただ一人を除いてね」といったフォローがあって、本当にいじらしくなる。
劇中何度も名前の出て来る、“世界一のギタリスト”ジャンゴ・ラインハルトこそが、天才なのだと思う。
そんなジャンゴを尊敬し、憧れ、畏敬の念を持ち、神のように崇拝し愛する、二番目の男の物語。
勿論彼も天才ギタリストなのだけれど、彼が二番目だという事に意味があるのだと思った。
女たちには「あなたは自分の殻に閉じこもって、感情を解き放てないから、ギターも成長しない」と言われる。
そうやって言うのは女たちだけだけれど、果たしてそれは本当なのだろうか。
本当にそうだから、女しか言わないのだろうか。
そして、唯一彼をそう責めなかった、口のきけない娘ハッティ(サマンサ・モートン)を愛するようになる。
ハッティと出逢った事で変化していくエメット。
あまり踏み込まない、大きな視点で見守るように描かれる二人の関係は、観ていてとても心地が良かった。
エメットと、ジャンゴのギターが聴きたくなった。
メディアファクトリー (2001/10/26)
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