まず、少年と出会った時、ジョニー・デップ演じる劇作家のバリが、子供達の前で演じて見せる犬とのダンス。空想の世界と交錯していく、サーカスのシーン。これはどこかで観たことが。
「ビッグ・フィッシュ」だ。
観る前までは、「ビッグ・フィッシュ」の事は全然頭になかったのだけれど、このシーンを観てからはどうしても比較してしまう。
ピーターを演じるフレディ・ハイモア
少年時代だけのこわれやすい心、傷つきそれを大人にぶつける時の激しさ。爆発するような怒りと悲しみ、痛み。忘れかけていたあの痛みを、ちらっと思い出させられた。
この辺りで、“これはただのあたたかい心のふれ合いではないぞ”、と思いだす。
フレディ・ハイモアは、耳が尖ってあごが細くて本当にピーターパンのよう!
完成したピーターパンの舞台、それを観劇する子供達。夢とイマジネーションに溢れた幸せなシーン。
ラストで見せてくれるネバーランド。
空想の世界へ連れて行ってはくれるのだけれど、その表し方が、やはり「ビッグ・フィッシュ」と重なってしまう。
そして「ビッグ・フィッシュ」の感動が大きすぎて、二番煎じにしか見えないのが辛いところ。
バリと、ケイト・ウィンスレット
このシルヴィアという母親は、慣習を破りバリと家族ぐるみの付き合いをした当時では型破りな女性で、その生き方や考え方に共感もするけれど、本当の意味で子供を信じて一人前に扱う事を、実際、現実にするのはとても難しい事だと思う。
そういう見方をすれば、この映画は子育てを考えられる作品かもしれない。
全体的に中途半端な印象で、何かが足りない気がする。
そんな中でも、ベッドで飛び跳ねる子供達がスローモーションになり、窓から夜の空へ飛び立っていくシーン。このシーンはとても美しくて、これを観るためだけにお金を払っても良いかと思わせる。予告編で何度も見ているのに、それでも感動させるのだから凄い。
あと、このひと言のセリフから、映画が出来たのではと思うほど良いセリフがある。
これを、ジョニー・デップ以外の俳優が言っていたら、全く違う物になっていただろう。
アカデミー賞での主演男優、作品賞を含む6部門ノミネートにも? そんなにいい映画か? という感想。私の「ネバーランド」主演男優はフレディ・ハイモア。
「ビッグ・フィッシュ」と「ネバーランド」、一体どちらが先に着想し、作っていたのかが気になるところ。
制作は「ビッグ・フィッシュ」が2003年、「ネバーランド」は2004年。
(ただ、ウォルトディズニー映画の「ピーター・パン & ピーター・パン 2 ネバーランドの秘密」が2002年のクリスマスシーズンから公開された事で、タイトル、内容もかぶる事から、公開を先延ばしにさせられたという話も。)
*これは私の勘違いで、実際は、制作は2002年にされていたけれど、2003年公開されたユニバーサル映画の「ピーター・パン」(実写版)との版権の問題で、2004年の秋まで公開が延期されたそうです。
もし「ネバーランド」を先に観ていたら、と思うと勿体ない気がする。
ネバーランドには連れて行ってくれるけれど、そこへ辿り着くまでの映像は、いつかどこかで観たようなものだった。

そして、最後はここに帰ってくる。
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