『パパは、出張中!』(85)と『アンダーグラウンド』(95)でカンヌ映画祭のパルムドールを2度受賞、『黒猫白猫』ではヴェネチア映画祭銀獅子賞最優秀監督賞受賞、『アリゾナ・ドリーム』(92)ベルリン映画祭銀熊賞審査員特別賞を受賞、とヨーロッパ3大映画祭を席巻、さらには2005年のカンヌ映画祭で審査員長に選出されたエミール・クストリッツァ。ヨーロッパを代表する巨匠のひとりなのだそうだ。
“祖国旧ユーゴスラビア崩壊を背景にしたせつなくもあたたかいラブストーリー"
ライフ・イズ・ミラクル2004年のカンヌ映画祭を沸かせた『ライフ・イズ・ミラクル』の舞台は、1992年、内戦勃発直後のボスニア・ヘルツェゴビナ。
主人公のルカは、セルビアとの国境に近いのどかな村で、妻と息子と共に暮らす善良な鉄道技師。「戦争が始まるなんて、テレビが勝手に騒いでいること」と、ノンキに鉄道の模型いじりに熱中するルカ。
だが、ひとたび村に爆音が轟きはじめるや、彼も家族も紛争とは無縁でいられなくなる。最愛の息子は兵隊に取られ、都会の生活が忘れられない妻はハンガリー人のミュージシャンと駆け落ち。
さらに、前線に派遣された息子は敵側の捕虜になってしまう。そんなとき、ルカのもとにやってきたのは、息子との捕虜交換要員として捕らえられたムスリム人女性のサバーハ。
奇妙な同居生活を送るうち、彼女とルカのあいだには、いつしか愛が芽生えていくのだが……。
捕虜になった息子を取り戻すためには、サバーハを手放さなければならない。
息子と愛する女性。ふたつの愛のあいだで、引き裂かれる思いを味わうルカ。
彼のジレンマと葛藤に焦点を当てたドラマは、ボスニア紛争中、セルビア人男性の身に起きた実話がベースになっている。
クストリッツァ監督は、戦争に運命を翻弄される名もなき市民の姿を通して、愛すること、生きることの過酷さと素晴らしさを同時に描き出していく。
サバーハと大自然の中で愛し合う夢のような日々を過ごしたあと、捕虜交換の場に赴き、彼女を取るか息子を取るかの究極の選択を強いられるルカ。果たして彼は、どんな決断を下すのか? どんなに辛く、絶望的な状況の下でも、生きて愛することができる限り、そこには希望があり、喜びがあるというクストリッツァ監督の力強いメッセージ。
「私は人生というものの奇跡を信じている」
う〜ん。試写会前に行った『ジャポネ』の”ナポ大盛”のせいか、開映から10分?15分後?には猛烈な睡魔が。
前日ほとんど寝ていなくても、映画鑑賞中にマジで眠くなるような事はここ何年もなかったので、これはジャポネのせいと言うよりも、映画のせいだと言う結論に。
始まりは、まあ良い感じで、大好きな動物ネタも盛りこまれていて、結構良い感じ。
ちょっとぶっ飛んでる感もまあ良しとする。
前編で一番気になったのは、主人公ルカと若い女性サバーハとの出逢いのシーン。
出逢い方とかはまあいいのだけれど、あんな何の取り柄もない、ひなびたおじさんに、一目惚れする若い女性という設定は有り得ない。
そこはまだ一目惚れというシーンではないのだけれど、後で出逢いから繋がってくるシーンを思うと、出逢いで一目惚れしていたとしか思えないような都合の良い展開が繰り広げられるので、そういう事なのだと解釈した。
中盤から、何の迷いもなくおじさんに尽くすサバーハを観ていると、全くその心情が理解出来ないし、おじさんの、息子の交換要員としてのサバーハに恋する気持ちを理解は出来ても、深い所でその真意を共有する事はできない。
サバーハの背景が見えてこないので、どうしても主人公にとっての都合の良い女にしか映らないのだ。
ストーリーや着目点は凄く良いと思う。あらすじを読んだだけで、そのストーリーの良さを期待したのに、何か違う方に行ってしまったという感じ。
主人公のおじさんルカの葛藤とジレンマに焦点を当てたストーリーと言うが、彼の心情は全く描かれていない。その他の主人公のセリフも、上っ面しか届いてこない。
だから、ラストで例え彼がどちらを選んでも、納得出来なかったと思う。
そして、人生に起こる奇跡とは何なのか?
見終わっても全く伝わってこない。
最後のファンタジーなシーンは、一体何なのか。
あれで気持ちが何となくほぐされても、全く意味のない事だと思う。
今まで何を見てきたのか。
彼の夢? 願望?
結局“人生の奇跡”とは、どうしようもない現実の中で恋をした! という感情の事なのだろうか。



