“酔画仙”と称された伝説の画家 チャン・スンオプ(張承業)。
数奇な運命を経て宮廷画家にのぼりつめた天才画家・張承業の知られざる生涯を描く。
スンオプは19世紀・朝鮮時代末期に貧しい家に生まれ、筆一本で宮廷画家にまでのぼりつめた実在の人物である。彼は、伝統的にこだわらない自由な画風で“朝鮮時代三大画家”と称される巨匠である。しかし、偉大な画家として名を残していながら、残された絵も、彼に関する記録も極めて少なく“宮廷画家に任命されてから宮廷を3回も逃げだした”“酒と女なしでは絵が描けなかった放蕩者”などの記録が残っているのみで、“最後は仙人になった”とも言われ、その生涯はいまだに伝説と謎に包まれている。韓国映画として初のカンヌ国際映画祭監督賞受賞に輝く巨匠イム・グォンテク

劇中でもよく酒を飲みながら絵筆を取るスンオプ。
タイトルからも、「酔拳
そういうシーンも少しあったけれど、いつも飲んだくれているので酒の影響があるのかないのかよくわからなくなってくる。
スンオプの幼少の頃から、少年、青年、成熟期、中年期、老年期と描かれていくのだけれど、青年期の男の子役、どう見ても15,6才の男の子のシーンに続く“それから3年後”のシーンに、突然若作り(?)したチェ・ミンシクが登場する。
そのギャップがおかしくて、暫く笑うのをこらえていた。
だって、チェ・ミンシクはどう見ても40過ぎ。
それが、15,6才の少年の三年後だから、18、19才?
ちょっと無理があったかも。
下働き仲間たちとも、同じ年の頃の役柄だと思うのだけれど、どう見ても一人だけ老けていて、しかも若さを表現する為なのか、やけにビクビク、オドオドした演技が、あの大きな体に似合わなくて気の毒になってくる。
登場人物がとにかく多くて、名前と顔が覚えられない!
しかも数年後とかにちょくちょく出て来るので一体どこの誰だったかとしばしば混乱する。女性も沢山登場してきて、ちょっとわからなくなってしまった。
もしかして実話なのかなー? と思いながら観ていたけれど、やはり実在の人物の話だった。
初めから実話と認識してから挑むべき映画だったかも。大分見方が変わったかもしれない。

見所は、水墨画から抜け出てきたような美しい自然の景色。
霧や雪煙に霞む山肌、岩肌。草原に自生する紅の花。冬の海辺の砂浜。ススキの野原。
抑えた色彩の中に息づく野生の荒々しさや自然の生命力に圧倒される。
そんな自然の風景の中を放浪するスンオプのシーンが何度か出てきて、とても印象的だった。
あとは、墨画の描かれる過程を映像でじっくりと観る事が出来ること!
お習字や書道とか、ただ字を墨で書くだけでなく、墨と筆で絵を描く事が子供の頃から好きだった自分にとって、墨と筆で描かれていく一本の線を観ているだけでもとても楽しく心地良くて、幸せな時間だった。
そして、すぐにでも自分も筆を取り、字でも線でも絵でも何でも良いから描きたくなった。

朽ち葉色のススキ野原の中でセックスする女性の、チマチョゴリの黄色や赤紫のあでやかさ!
そんな抑えた色合いの中に利かす原色の差し色の美しさ、力強さにハッとして、うっとりする。
歴史的背景や日本との関係、その時代の絵画などについてもう少し勉強してから、是非もう一度じっくりと観てみたい作品。
自然の景色はきれいでしたよね。でも話が薄く長くなのでちょっと退屈気味でした。チェ・ミンシクはさすがです、20歳以下の役までやるとは(^^;
こんばんは! こちらもTB,コメントありがとうございます。やっぱりあれは10代だったんですよね。
あのクマのような体つきで10代って、本当におかしかったです! 笑っちゃいけないけど笑えました。