2008年03月16日

『ノーカントリー』

シンプルでよくあるストーリーなのに、迫ってくるような恐怖感、緊張感がスゴイ。
静けさの中で突如爆発する暴力の迫力。コーエン兄弟の底力を見せつけられた『ノーカントリー』(『NO COUNTRY FOR OLD MEN』)

No Country for Old Men 血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1)
No Country for Old Men
原作は「すべての美しい馬」の作者コーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」

一瞬の間に交錯する人生緊張の高まりへのエネルギーの強さと緩和。
突き抜けた先にあるユーモア
大事なところを見せないで結果を悟らせるシーンの巧さ。その為により強く伝わる喪失感がスゴイ。

とても温かいもの、確かなものと、どす黒くて悪や死の象徴のようなもの、その両方が心に深く沈み込むように残る映画。

2007年度アカデミー賞作品賞・監督賞・脚色賞・助演男優賞と主要部門を独占受賞。
舞台は80年代だけれど、現在にも通じる根深い問題を、独特の映像と語り口でエンタテインメントに見せてくれました。タイトルは原題のままの方が、映画を理解しやすいのでは?と思います。

ジョシュ・ブローリンは、始めのうちどこかで観た事がある誰かと間違えてました。
トミー・リー・ジョーンズは『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』を彷彿とさせる役柄。同じような役が多い気もするけど、はまってます。
海を飛ぶ夢』でも強烈な印象を残したハビエル・バルデム。スゴイ髪型で新しい殺し屋像を創り上げました。この人の恋愛モノとか、なんかもっと違った役柄も見てみたくなりました。

コーエン兄弟監督作品の中でも大好きなのは、『赤ちゃん泥棒』。ニコラス・ケイジ主演コメディ映画の中でもとびきり面白い一本♪
赤ちゃん泥棒

最近観た『ディボース・ショウ』ではちょっとがっかりしたけれど、ここへきてガツンとくる作品を見せてくれました。この二人の作品をもっともっと観たいです。


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posted by bakabros at 23:55 | 東京 ☀ | Comment(6) | TrackBack(18) | 外国映画
この記事へのコメント
こんにちは。

ぼくも『赤ちゃん泥棒』は大好きです。
あと、コーエン兄弟だと『ファーゴ』かな。

また、映画鑑賞戦線に戻られたみたいですね。
\(^-^)/
これからもよろしくお願いします。
Posted by えい at 2008年03月17日 10:18
えいさま。こんにちは♪
以前のように観たい映画を全部、という訳にはいきませんが、少しずつ時間を作って観ていきたいなと思っています。
『ノーカントリー』は久々に映画の醍醐味を堪能出来て、大満足でした(^^)
Posted by bakabros at 2008年03月17日 22:16
bakabrosさん、こんばんは〜!
「ノーカントリー」「ファーゴ」「赤ちゃん泥棒」とDVDの予約を入れてますが、いつ番が回って来るやらって感じで待ってます。

ちょっと、これバイオレンスが多いらしいので、、、、でも、見ます。
Posted by ひとみ at 2008年03月18日 15:09
ひとみさん、こんにちは♪
私は好きな作品ですが、あまり人にはお勧め出来ないかな〜!? でも、皆の感想を聞いてみたい映画でもあります。ひとみさんのコーエン強打イ三作の感想楽しみです(^^)♪
Posted by bakabros at 2008年03月19日 11:08
お久しぶりです。
ブログ放り出して半年、めたろうです。

ハビエル・バルデム、「海を飛ぶ夢」のひとだったんだ、、、。

コーエン兄弟で見たことあるのは「ファーゴ」なんですが、
やはり本作のが良かったです。

「とても温かいもの、確かなもの」という評がでてきたのがやや驚きで、
ただ言われて見ればそうだなぁとも思えます。
その辺が「ファーゴ」より見易いと感じた要因かもしれません。

邪悪さというよりも喪失感、虚無感を感じました。
トミー・リー・ジョーンズの嘆きが、やはり本筋であった様に思います。

殺し屋の造形に関しては、どうなのだろう?と思ったのも事実。

日本のマンガとかはこの手のシリアルキラーで先行するキャラクターを多く生み出してますからね。
今回はゴルゴ13を思い浮かべましたし、
ワールド・イズ・マインの「モン」や
ジョジョにでてくる「吉良」、
デスノートの方の「キラ」等など。

映画の方ですと北野武演じるキャラクターとか。

本作のバックボーンに関しては、
欧米でのキリスト教文化、
「強い神」の喪失と言うのが重要なんでしょうが、
元々そういう神様への遠慮とかない日本人は、既にこの手の「欠落」したキャラクターを、
虚構においても現実においても量産していると思います。

「邪悪」を描いた事が評価されたとするなら、
遡って2004年の「誰も知らない」に作品賞をやってくれ、と言うのが正直な感想です。

あの、無作為の悪の方が、邪悪と言うに相応しく、
今ここにある危機を表現できていると思いました。
Posted by めたろう at 2008年03月24日 17:55
めたろうさま。
こんにちは♪ ご無沙汰してます。

ハビエル・バルデム、本当に存在感の大きな俳優さんですよね。もっともっと色んな役柄が観てみたくなります。
映画は、ただのシリアルキラー物ではなくて、神の不在とか父権の消滅とか、普遍的な問題を描いているんだな思いました。
トミー・リー・ジョーンズ演じる警官とその父親の、殺伐としたシーンの裏側にある想いや、ラストの夢の話から、温かいもの、熱い想いを感じました。

殺し屋の描き方は、面白いけれども、もっと凄みや意外性を感じさせて欲しかった気もします。期待し過ぎかな??
肉屋のチャーリーの話がとても印象的で、映画を観てから自分にとっての良い戒めになっています。
殺し屋、大金強奪といった浮世離れした設定ながら、意外と身近な問題をとても真面目に訴えているんだなと、ちょっと意外な感じもしました。

『誰も知らない』良かったですね。心の底からドキドキさせてくれるような邦画がまた観たいです。

Posted by bakabros at 2008年03月26日 13:58
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