『リミッツ・オブ・コントロール』(『THE LIMITS OF CONTROL』)
名もなき孤独な男が、ある任務の為にいくつもの街を巡り、さすらう。
一秒一秒までをコントロールするかのように、ストイックに過ごす孤独な男。
与えられた任務の真相とは、彼の行き着くところは一体どこなのか。

ジム・ジャームッシュ監督が、ジョン・ブアマン監督の「殺しの分け前/ポイント・ブランク」や、70〜80年代のヨーロッパ犯罪映画をイメージして撮り上げたというハードボイルド・ムービー。

歩いている通り、場所、歩き方で、その人の人となりを表現しているよう。
孤独な男が寝ているシーン。ヨガをするシーン。着替えるシーン。
儀式のように繰り返される毎日。彼の心に何かを残すものとは。
役者たちの存在感で魅せる、シンプルでストレートなストーリーに、ジム・ジャームッシュの若々しさを感じさせられる。
『コーヒー&シガレッツ』『ブロークン・フラワーズ』に続き、ジム・ジャームッシュ監督作品と聞けば、観ておかないといけない気になるのは、映画に目覚めた頃、一番映画を熱く観ていた頃に出逢ったからなのでしょうか。
それも今は、タイトルだけが強烈に頭に残っているだけで、どんな映画だったのかあまり覚えていません。そもそも、その時に内容を理解していたのかどうかも怪しいカンジ。
思い出すのは、ある一場面の台詞とか、ノイズとか、空気。
その強烈な一瞬の陰影を探して、きっとまたジム・ジャームッシュ作品を観続けるのだと思います。
ビル・マーレイ!
この役は、ビル・マーレイしか考えられなかっただろう、最高のキャスティング。
出て来ただけで笑いを誘う、彼の存在感が大好きです。
イザック・ド・バンコレのインパクトのある顔とか、
パス・デ・ラ・ウエルタの完璧なヌードとか、
ティルダ・スウィントンの紙が切れそうな目鼻立ちとか、
工藤夕貴の可愛らしさとか、
ガエル・ガルシア・ベルナルの危うさとか、
ヒアム・アッバスの迫力とか。
クリスとファー・ドイル撮影の映像とか、
Borisの音楽とか。
観た後に色々語りたくなりました。
そして、すぐにでもスペインへ行きたくなる!