ニコール・キッドマン主演作は、いつも過度に期待しないつもりでいても、彼女がスクリーンに現れるだけで何かが起こりそうな、何か新しいものが観られそうな、特別な感情が生まれる気がする。発散されるパワーとオーラが凄い。

実際、彼女の姿、顔、表情を観ているだけでも充分一本映画を楽しめるのではないかと思う。
でも、それもこの「奥さまは魔女」のように、笑顔満開、キュートな役柄だからこそ。
「インタープリター」のような苦渋に満ちた仏頂面とか、「ステップフォード・ワイフ」のキャリアウーマン、お人形の彼女は、魅力が半減してしまう。

「奥さまは魔女」のイザベル役は、ニコール・キッドマンにぴったり!
はまり役だと思う。
監督のノーラ・エフロンは、映画化にあたって、TVドラマ「奥さまは魔女」(原題“Bewitched”)のサマンサ役、エリザベス・モンゴメリーの鼻の形と、ニコール・キッドマンのそれとがそっくりだという事に気づいてから、この役には彼女しかいない! と決めていたそう。

魔女なので、あの神々しい美しさも不思議じゃなく見える。魔女だから、あんなに綺麗なんだ、と納得してしまう。
映画は全編、カラフルでピカピカ、ポップでキュート!
ニコールも可愛い。セリフもおかしい。ストーリーもきゅんとなる。
出て来る物、映る物全てがキラキラ輝いているようなシャインムービーだった。
ニコールの可愛さ、美しさが溢れ出ていて本当に輝いている。
笑顔満開なので、観ているだけでこちらも幸せな気分になってしまう。
設定やストーリーも抜群に良かった。
「奥さまは魔女」のTVシリーズをリメイクする事になった落ち目の俳優、ジャック(ウィル・フェレル)がハリウッドに復活しようと自分を目立たせるために、相手役に新人女優を抜擢する事に。偶然出逢ったイザベル(ニコール・キッドマン)の“鼻”に惚れ込みキャスティングする。
初めから二人が惹かれ合っている訳ではなく、仕事の為だったり、魔法の力を借りたりして、少しずつお互いが近づいて、分かり合っていく過程の描き方が自然で、いつの間にかイザベルに感情移入して応援してしまう。

この役も、彼しかいなかった! と断言できるほどのはまり役。
あの動きだけでも笑わせる方だの素晴らしさ、ジム・キャリーを思い出した。
実際、ウィル・フェレルに決まる前はジム・キャリーにオファーがきていたとか!
一時はトップスターだったものの、主演映画が続けてこけて今や人気も評判もがた落ち。軽薄で、ドジなダメ男がぴったり! もの凄い体の動きで、もう動いているだけで笑える。あのハイテンションは、魔法のせいかと思ったら、魔法じゃなくてもハイテンション! ニコール・キッドマンが霞む程の名演技と大活躍と思ったけれど、ニコールも可愛いだけの芝居では終わらない。

イザベルがジャックに対抗する辺りの描き方とか、劇中の「奥さまは魔女」のドラマ設定の持って行き方とか、さすが女性監督(脚本・制作も。脚本は姉妹のデリア・エフロンと共同)だなと思う箇所が随所にあった。
制作にも女性が二人。ペニー・マーシャルは女性だったのか。
TVドラマ「奥様は魔女」を知らない人でも充分楽しめると思う。
勿論、深く知っていればもっと楽しめるとは思うけれど。
アーサーおじさんのくだりはTVドラマをきちんと全部見ていた人ならピンと来るのかな?
あの役回りを、そのままエンドラ役のアイリス(シャーリー・マクレーン)にやらせたら、全てが気持ち良く丸く収まったような気がしてちょっと残念。
シャーリー・マクレーンは、そのまんまで魔女っぽいのでこれまたぴったり。
イザベルの父親役、マイケル・ケインも、つぼを押さえた登場の仕方で楽しませてくれる。
TVスタジオやTVドラマのセットが効果的に使われていて、とても楽しくてロマンチック。
TVドラマ版がまた一から観たくなった!
ラブコメディ好きには勿論、楽しい気分になりたい時、ロマンチックに浸りたい時、大笑いしたい時に、是非お勧め!!
折って貼ってそのまま封筒になる便箋。絵が可愛い!
