2005年07月09日

「ヒトラー 〜最後の12日間〜」

東京国際フォーラムホールD1「ヒトラー 〜最後の12日間〜」試写会。
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督がインタビューで「ヒトラーを人間的に描くというタブーに挑戦した。しかもドイツ人の自分が」という様な事を話していた。
主演のブルーノ・ガンツも「この役を引き受ける事に強い迷いがあった」と言っていた。
この監督と主演俳優のインタビューを見なければ、ドイツ人がヒトラーを描くという事がタブーであったと言う事にも気づかぬままこの映画を観ていたかもしれない。

ただヒトラーの伝記のような作品を作るということだけでなく、独裁者ヒトラーを愛や感情を持った一人の人物として人間的に描くという事がタブーと言われるような事なのだと思う。

ヒトラー 〜最期の12日間〜 スペシャル・エディションヒトラー 〜最期の12日間〜 スペシャル・エディション

2002年公開「アドルフの画集」は、画家を志していたアドルフ・ヒトラー青年が、いかにして史上最悪の独裁者へとなっていったのかと言う、“始めの一歩”を、架空の画商の視点によって描かれた作品。
「アドルフの画集」はハンガリー・カナダ・イギリス映画でメノ・メイエス監督。メノ・メイエス監督自信も、映画に着手する前は、“ヒトラー=モンスター”というイメージでとらえていたという。

「アドルフの画集」を観て、ヒトラーという人物をただ独裁者、悪魔のように突然変異した怪物のようにしか感じられなかった捉え方を、ヒトラーも自分と同じ人間で、夢もあり挫折があり、希望と野望があった青年だったという等身大の人物として見る事が出来た。

それがナチスを肯定する事には勿論ならないが、同じ人間として彼を見てみる事が、過去に起きた戦争、虐殺などを考える上で何かのヒントや取っ掛かりになるかもしれない。
同じ人間として考えるからこそ、もっと恐ろしく感じてくる部分もあると思う。

そういった事が、過去に起きた戦争や過ちを深く思考する事に繋がり、風化させない為になるのかもしれない。

ヒトラー 〜最期の12日間〜 」は、歴史家ヨアヒム・フェストの「ダウンフォール:ヒトラーの地下要塞における第三帝国最期の日々」と、第二次大戦終結の二年前にヒトラーの個人秘書として雇われたトラウドゥル・ユンゲの回想録「最後の時間まで:ヒトラー最後の秘書」をベースにした、プロデューサーでもあるベルント・アイヒンガーによる脚本。

詳細な記録を元にヒトラーとその側近、家族達までの人物像や地下要塞で起こった事が淡々と描かれる。

ソ連軍の砲火の中で精神的に追いつめられ、敗戦を確信した側近達から逃亡を勧められても堅くベルリンを離れようとはしなかったヒトラー総統。
そして、周りの者たちへ自決用の青酸カリを渡し、妻と拳銃自殺する。

タイトルから、最後の日までカウントダウンしていく手法かと思っていた。
しかし、そういったドキュメンタリー的なものよりももっと、ヒトラーと、その身近にいた人物達の詳細な描写、ベルリン街中での民兵とソ連軍との戦い、戦争のただ中で、何が正しく何が間違っているのかがわからなくなってくるような狂信的な空気が抑えた演出でクールに激しく描かれる。

多くの人物が出てきて、それぞれがその時どうしたのか、という点でも見応えがある。
史実に詳しい人はもっと深くこの映画を読みとる事が出来るのだろうと思う。

地下空間独特の乾いた不気味な空気音を常に感じる、息の詰まるような画面に、秘書やヒトラーの妻エヴァなど女性と、子供達が映るだけで柔らかく、温かい潤いが生まれる。
その女性達も始めはどこか他人事のようだった戦争が、次第に自らの生死に関わってくるようになって、戦争の中で運命に翻弄されるが、その運命もかつていつか自分が選んだ道の先にあったのだと悟っているように見える。

観る人によって、注目する登場人物はそれぞれだと思うが、一番心に残ったのは宣伝大臣のヨゼフ・ゲッペルズとその妻、6人の子供達の母親がした事だった。

どうしても共感は出来ないが、そうさせた時代と考え方が実際にあったという事に恐ろしさを感じ、また自分や家族や身近な人がそうなり得るかもしれないという恐怖を改めて感じた。

そして、2時間35分の映像の中、犬死にしていく人々の姿や戦争の愚かさ、想い敗れ自殺していく者の惨めさと切なさの全てを、秘書トラウドゥル・ユンゲ本人の生前の言葉が語り尽くしている。

映画冒頭のナレーションと、ラストのトラウドゥル・ユンゲ本人の言葉が、一番心に重く激しく突き刺さってくる。

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4 精巧に作り上げられた作品
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5 人間ヒトラーの本質とは


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2005年06月24日

『メリンダとメリンダ』

ヤクルトホール「メリンダとメリンダ」試写会。
今回は監督、脚本に徹して出演なしのウッディ・アレン
ラブストーリーなので、ウディ・アレン本人が出てこない事にホッとしつつも、それもちょっと物足りないような、複雑な心境。

メリンダとメリンダ
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3 主人公は、メリンダ?
4 性格の対比がおもしろい
 

同じバックグラウンドを持つ一人の女性メリンダが、ある地点から悲劇と喜劇へと分かれていくというよくあるストーリーと思っていた。
スライディング・ドア」のような。

違う人生を歩み始める二人のメリンダを同時進行で追うのではなく、全ては劇中劇として語られていく。
悲劇と喜劇の主人公メリンダを演じるのはラダ・ミッチェルだが、それぞれの話の脇役達は、役所の設定も微妙に違い、役者も違う。

そしてメリンダ自身のキャラクターも大分違う印象。

悲劇のメリンダは辛い過去を独白する重苦しいシーンが多く緊張を強いられる。
悲劇と言っても、よくある恋愛と友情のもつれ、三角関係とかそう言った話なのだが、クロエ・セヴィニーの存在感に、劇中劇とわかっていながらも引き込まれていく。
そこへ挟み込まれる喜劇中で、メリンダとメリンダに恋する男、ウィル・フェレル(ほとんど彼が主役)がどうしようもないような状況に追い込まれるのは悲劇のお話と同様なのだが、こちらは軽快に、何故かみんなが次第にハッピーになっていく。
アップテンポのジャズとウィル・フェレルの軽妙な演技に乗せられてほぐされ、ホッとしたような笑いが生まれる。

悲劇と喜劇は表裏一体、人の数だけストーリーがあり、見方によってどうにでもなると言う事。

メリンダとメリンダ オリジナル・サウンドトラック メリンダとメリンダ オリジナル・サウンドトラック悲劇と喜劇を描き分ける為に使われる音楽がとても印象的。

サイトのイントロダクションにある、“ウディ・アレンとあなたで、あなた自身のラブストーリーを作ってみませんか?”という一文がこの作品をよく表していると思う。
チラシ等でも、ポップで女の子受けするような作り、文面で「あなたはどちらのメリンダを選びますか?」とか、恋愛のヒントが見つかるかも?という宣伝文句。
鵜呑みにしてはいなかったけれど、やはり内容は観る前に思っていたものとは全く違っていた。
この映画をラブストーリー、しかも恋愛のヒントを得られるかも?という視点で見ることほど野暮な事はないのではないだろうか。

悲劇をしっかりと描く事の出来る監督が、悲劇対喜劇というカタチを取って観せてくれる、一級品の喜劇なのだから。

ウディ・アレン監督作品の感想記事
マッチポイント』『さよなら、さよならハリウッド』『ギター弾きの恋

カチンコウィル・フェレルの真骨頂!「奥さまは魔女」の感想記事
カチンコラダ・ミッチェルの迫真演技に背筋がゾクゾク! 『サイレント・ヒル』の感想記事

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2005年06月16日

「バットマン ビギンズ」

新宿ピカデリーにて「バットマン ビギンズ」試写会。
「バットマン」シリーズは、第一作の「バットマン」は結構好きだけれど、「バットマン・リターンズ」「バットマン・フォーエバー」は確かTV放映で鑑賞、「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」は観ていない。

「バットマン」「バットマン・リターンズ」は、ティム・バートン監督の描く霧雨に煙る鬱蒼とした薄暗いゴッサムシティの街の描き方、クールな映像にしびれた。
でも、プリンスの音楽がどうにもポップでキャッチー過ぎてしまい、画面の重さが半減していたような気もする。プリンスは大好きだけど。

そして今日観た「バットマン ビギンズ」。
徹底してストイックでクールなダークヒーロー像を描ききっている。
その終始格好良すぎる映像の間に挟まれるジョークや笑う場面に観客も、笑うタイミングを逃したまま終盤へ。
とにかくクールに、そして“恐怖とは?”、”怒りと悲しみを克服し、恐怖の中に入っていく”、“恐怖と一体になり、己が恐怖となる”といった哲学的な問答をブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)、影の軍団のデュカード(リーアム・ニーソン)が延々としている。

ヒマラヤの奥地でする修行が忍者修行? 細かい所はどれもこれも胡散臭い。その頭領が渡辺謙という事だが、まあ思った通りの役所で、ハリウッド映画の日本人出演にはよくある事だが、大した役ではなかった。出番が少ないとは聞いていたが、本当に思ったよりも少ない。彼の出演は日本の興行収益の為ではないかと思う程。だから渡辺謙を期待して観に行く事とがっかりするだろう。

前半はそう言った感じなので、一体どうなるのかと思ったが、ブルース・ウェインが自分の成すべき事を見定め、バットマンとなりつつある時、それ以降、モーガン・フリーマンが武器や車を出してくる辺りから楽しくなってくる。

そして、あのマスク。
「耳は別注文で中国に」とか、コウモリ型の手裏剣を電ノコで(!?)作り始めたりする辺りから俄然面白くなってくる。
キャットウーマンのように自分でチクチク縫ったりはしないけれど、スーツを黒スプレーで塗装している場面なんてもうウププと笑いがこみ上げてくる。

ああいう漫画っぽい事が好きな人なら凄く楽しめると思う。

隠れ蓑にマスクを1万個注文とか、大金持ちが金を湯水のように使って、しかし自分の身体一つでゴッサムシティを悪から守ろうとする。
その大元のストーリーが面白いと思える人はきっと楽しめる。
そして、今までのシリーズのコミカルなキャラクターなどについていけなかった私は、「バットマン」よりも本作の方が純粋に面白く楽しめた。

ブルース・ウェインと執事(マイケル・ケイン)との絆とか、ゲイリー・オールドマンが善意の警官(!? で彼とわかっていても彼に見えないとても普通の良い役を普通に演じている)とか、エンドロールでルトガー・ハウアーの名前に気づいて、その役名を見ても彼だったとは思い出せなかったりとか、そういった味のあるベテラン俳優陣の使い方に贅沢さを感じ、この映画を監督がどういう作品にしたかったのかが伝わってくる。

主演のクリスチャン・ベイルは、記者会見での発言が非常に印象悪かったので、鑑賞前に余計なイメージを持ってみる事になってしまった。しかし、さすがに言うだけの事はある。この人のどの映画を観ても、彼自身の顔が見えてこないというか、どういう人なのか全く尻尾を見せないと言うか、それだけ役柄に入り込んで溶け込んでしまっているのかもしれない。

モーガン・フリーマンのように、出て来るだけで“モーガン・フリーマン”! 彼以外の何者にも見えない、映画としてはマイナスになるような俳優とは全く逆の俳優だと思った。

今までのバットマンシリーズファンやアメコミ映画ファンよりも、普通の映画好きな人の方が逆に面白いと思えるのかもしれない。
それ位、今回のバットマンは、ブルース・ウェインの、己の生い立ちや背負った苦しみ、悲しみや怒り、宿命との葛藤がメインの人間ドラマになっている。

熱狂的なバットマンファンやアメコミ映画ファンに、是非感想を聞いてみたい。

バットマン
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バットマンと言えばこの曲!




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2005年06月02日

「ライフ イズ ミラクル」

よみうりホール「ライフ イズ ミラクル」試写会。
パパは、出張中!』(85)と『アンダーグラウンド』(95)でカンヌ映画祭のパルムドールを2度受賞、『黒猫白猫』ではヴェネチア映画祭銀獅子賞最優秀監督賞受賞、『アリゾナ・ドリーム』(92)ベルリン映画祭銀熊賞審査員特別賞を受賞、とヨーロッパ3大映画祭を席巻、さらには2005年のカンヌ映画祭で審査員長に選出されたエミール・クストリッツァ。ヨーロッパを代表する巨匠のひとりなのだそうだ。
“祖国旧ユーゴスラビア崩壊を背景にしたせつなくもあたたかいラブストーリー"
ライフ・イズ・ミラクル ライフ・イズ・ミラクル
2004年のカンヌ映画祭を沸かせた『ライフ・イズ・ミラクル』の舞台は、1992年、内戦勃発直後のボスニア・ヘルツェゴビナ。
主人公のルカは、セルビアとの国境に近いのどかな村で、妻と息子と共に暮らす善良な鉄道技師。「戦争が始まるなんて、テレビが勝手に騒いでいること」と、ノンキに鉄道の模型いじりに熱中するルカ。
だが、ひとたび村に爆音が轟きはじめるや、彼も家族も紛争とは無縁でいられなくなる。最愛の息子は兵隊に取られ、都会の生活が忘れられない妻はハンガリー人のミュージシャンと駆け落ち。
さらに、前線に派遣された息子は敵側の捕虜になってしまう。そんなとき、ルカのもとにやってきたのは、息子との捕虜交換要員として捕らえられたムスリム人女性のサバーハ。
奇妙な同居生活を送るうち、彼女とルカのあいだには、いつしか愛が芽生えていくのだが……。
 
捕虜になった息子を取り戻すためには、サバーハを手放さなければならない。
息子と愛する女性。ふたつの愛のあいだで、引き裂かれる思いを味わうルカ。
彼のジレンマと葛藤に焦点を当てたドラマは、ボスニア紛争中、セルビア人男性の身に起きた実話がベースになっている。

クストリッツァ監督は、戦争に運命を翻弄される名もなき市民の姿を通して、愛すること、生きることの過酷さと素晴らしさを同時に描き出していく。

サバーハと大自然の中で愛し合う夢のような日々を過ごしたあと、捕虜交換の場に赴き、彼女を取るか息子を取るかの究極の選択を強いられるルカ。果たして彼は、どんな決断を下すのか? どんなに辛く、絶望的な状況の下でも、生きて愛することができる限り、そこには希望があり、喜びがあるというクストリッツァ監督の力強いメッセージ。
「私は人生というものの奇跡を信じている」

う〜ん。試写会前に行った『ジャポネ』の”ナポ大盛”のせいか、開映から10分?15分後?には猛烈な睡魔が。
前日ほとんど寝ていなくても、映画鑑賞中にマジで眠くなるような事はここ何年もなかったので、これはジャポネのせいと言うよりも、映画のせいだと言う結論に。

始まりは、まあ良い感じで、大好きな動物ネタも盛りこまれていて、結構良い感じ。
ちょっとぶっ飛んでる感もまあ良しとする。

前編で一番気になったのは、主人公ルカと若い女性サバーハとの出逢いのシーン。

出逢い方とかはまあいいのだけれど、あんな何の取り柄もない、ひなびたおじさんに、一目惚れする若い女性という設定は有り得ない。
そこはまだ一目惚れというシーンではないのだけれど、後で出逢いから繋がってくるシーンを思うと、出逢いで一目惚れしていたとしか思えないような都合の良い展開が繰り広げられるので、そういう事なのだと解釈した。

中盤から、何の迷いもなくおじさんに尽くすサバーハを観ていると、全くその心情が理解出来ないし、おじさんの、息子の交換要員としてのサバーハに恋する気持ちを理解は出来ても、深い所でその真意を共有する事はできない。
サバーハの背景が見えてこないので、どうしても主人公にとっての都合の良い女にしか映らないのだ。
ストーリーや着目点は凄く良いと思う。あらすじを読んだだけで、そのストーリーの良さを期待したのに、何か違う方に行ってしまったという感じ。

主人公のおじさんルカの葛藤とジレンマに焦点を当てたストーリーと言うが、彼の心情は全く描かれていない。その他の主人公のセリフも、上っ面しか届いてこない。
だから、ラストで例え彼がどちらを選んでも、納得出来なかったと思う。

そして、人生に起こる奇跡とは何なのか? 
見終わっても全く伝わってこない。

最後のファンタジーなシーンは、一体何なのか。
あれで気持ちが何となくほぐされても、全く意味のない事だと思う。
今まで何を見てきたのか。
彼の夢? 願望?

結局“人生の奇跡”とは、どうしようもない現実の中で恋をした! という感情の事なのだろうか。

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2005年06月01日

「オープン・ウォーター」

ow.jpg新宿明治安田生命ホール。「オープン・ウォーター」試写会。
サンダンス映画祭で注目を集め、当初全米19都市47館の限定公開が、話題が話題を呼び全米2079館での拡大公開となったというのを聞いて、是非試写会で観なければ(劇場公開では観たくない)と思っていた。
主催はブレンダ/ランティエ。エクステとミュール、ミニスカのギャルと、年配夫婦(!?)が目立つ客層。
映画は観る前、「低予算で、ただ二人が海の中でキャーキャー言ってる、"ブレア・ウィッチ・プロジェクト”のサメ版だろう」とタカを括っていた。
実際、その通りの展開なのだけれど、ちょっと様子が違う。
これは、観てもらわないと何とも言えないのだけれど、話題作、問題作、と言われる所以は確かにあった。

この映画に大して想像する期待度が低いレベルだった為、始まりから暫くも全く期待感が持てず、珍しく(初めてかも)、時計を観ながらの鑑賞となる。
上映時間が79分という事もあって、ささっと終わるのだろうと。
もちろん、初めからググッと映画に引き込まれればそんな事はしなかったのだけれど、どうにもこうにも、意味がないと感じられる映像が淡々と流れるだけの序盤にすっかり飽きてしまい、後は時間とのカウントダウンに。
しかしこの前編が、ラストに効いてくるので、全く意味がないわけではなかったと、見終わってから気づいた。
それにしても、長い。「あー、もういいから、早く海に入ってよ!」「で、サメが出て来るんでしょ!? 」という投げやりな体勢に。
ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の時は、もっと初めから緊張して、物語を嘘物とわかりながらもついて行っていたけれど。

まあ、敵が目に見えないお化けなのか、現実的なサメなのかというのも大きい違いだけれど、でも、「ジョーズ」は始めからずっと、もっと怖かったよな〜、とか色々考える。

気になったのは、デジタルカメラのあんまりにも下手過ぎるズームアップ。画面に水滴が着くのも気になった。
その手法で主人公二人を撮るのはわかるけど、「関係ない同乗者とか、なんでピントズレしてるの!?」とか思うけれど、きっと意味があるのだろう。という事にする。

上映から25分、やっと遭難する。
40分、最初にサメに遭遇しちょっと噛まれる。
55分、がっつりかまれる。
60分過ぎ、やっと遭難が判明する。
そして。。。。

こうやって時間経過を追ってネタバレしても、きっとこの映画の醍醐味は、劇場で全編観てみないと理解出来ないだろうと思う。

上映後、エンドロール終了後のあの客席のどよめき!あの、驚きとも笑いとも疑問とも怒りとも取れない微妙で複雑などよめきを、是非映画館で体験して貰いたい。

こればっかりは、たとえ全編の内容を人から聞いていて知っていても、例えエンディングを細かく聞いて知ってしまっていても、始まりから終わりまで、劇場でお金を払って見た人にしか味わえない何とも言えない"わだかまり"が残るのだ。
試写会場でこの反応なのだから、映画館ならその倍、驚きや落胆や疑問も大きいし、楽しめると思う。
ただの低予算のパニックムービーかと思いきや、それだけで終わらない何かがある。
それが、計算された物なのか、偶然の産物なのかは別にして。

こういう映画も面白いなあと、映画の楽しみをまた拡げられたような気がした。

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2005年05月24日

「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」

九段会館「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」試写会。マシュー・マコノヒーペネロペ・クルスが共演中に恋に落ちた事も宣伝かと思うほどにペネロペ・クルスは共演者と必ず恋に落ちる。でも、恋に落ちる男優の気持ちもわかる気がする。ただ美しいだけではなくて、可愛らしさが溢れていて、見惚れてしまう。

そんなに魅力的なペネロペ・クルスなのだけれど、この映画ではWHOの医師という役柄ながら「キャア〜!」「ア〜〜!!」という叫び声ばかりで、ほとんどセリフがない。
こういう冒険アクション映画の中の女優は、飾り物という事で、誰でも良かったのかもしれないけれど、ペネロペ・クルスがやるからには、何かもっといいものが見られるような、期待を持って観てしまう。
そう言えばペネロペ・クルスって、いつも観た後にただ、綺麗だという印象しか残らない女優だった。
オール・アバウト・マイ・マザー」で初めて観た時はとにかく美しくてキュート! その美しさが役柄とのギャップもあって余計に引き立って輝いていたのだけれど。
何がつまらないって、主演男優が全くタイプでないという事ほど、映画をつまらなくするものはない。タイプでないというよりも嫌いな顔。妙にマッチョなのも気持ち悪いし、とにかく終始、いけ好かない奴! としか観られないのが辛い。

ナショナル・トレジャー」が面白かったから、冒険アクション物もいいかも? ペネロペも出るし。二人はこの映画で恋に落ちたって言うし。という事で観たのだけれど、冒険アクションものこそ、主演俳優にかかっているのだと改めて気づかされた。


内容が無くて、ご都合主義、アクションの連続だからこそ、主演俳優についていけるかどうかで決まってしまう。
セルラー」のウィリアム・H・メイシーと、「ナショナルトレジャー」に於けるジャスティン・バーサ的役柄スティーヴ・ザーンは良かった。
ラクダがあんなに早く走るのと、ウォーウォー鳴くのも意外で面白かった。
初めの方のボートチェイスは今まであんな大がかりな物を観た事がなかったし、スピード感も迫力もあって楽しめた。

監督はディズニー元会長の息子、ブレック・アイズナー。「TAKEN」などのTVシリーズや「インヴィジブル・マン」「クライム・エンジェル」などテレビのパイロット番組を監督したらしい。
監督総指揮にヴィッキー・ディー・ロックというブリストル・ベイ/ウォールデン・メディアの実質映画制作部門上級副社長(って何?)が名を連ねているのだけれど、一体監督総指揮って何をする人?

Ray」の監修、元20世紀FOXの制作エグゼクティブでは「トゥルーライズ」「タイタニック」「ロミオ&ジュリエット」「アナスタシア」「エイリアン4」を手がけたそうなので、大した人物なのだろうけど。
ブレック・アイズナーが初監督という事で、お目付役という感じ?

マシュー・マコノヒーは制作もしているので、シリーズ作にする気満々らしい。シリーズ作!? う〜ん。「ナショナル・トレジャー」も続編決まったらしいし、何とも言えないけれど。

サハラ -死の砂漠を脱出せよ-
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昔からラクダが好き。砂漠もいつか行ってみたい。
遊牧民になろう図説沙漠への招待plus d アニマルブックマーク らくだ

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