2007年07月06日

『傷だらけの男たち』

『インファナル・アフェア』シリーズのアンドリュー・ラウ&アラン・マック監督、スタッフの新作、『傷だらけの男たち』(『傷城』『CONFESSION OF PAIN』)。『インファナル・アフェア』シリーズのファンとしては、どうしても期待してしまいます。主演も『インファナル・アフェア』シリーズのトニー・レオン。金城武が出ている点はちょっと気になりますが……。

「傷だらけの男たち」OST 「傷だらけの男たち」OST 映画のオリジナルサウンドトラック

傷だらけの男たち (スクリーンノベルス) 傷だらけの男たち (スクリーンノベルス)

刑事の上司と部下というだけでなく、親友だった二人が、ある殺人事件をきっかけに再会する。私立探偵となり、ヘイ(トニー・レオン)の妻スクツァン(シュー・ジンレイ)に事件の真相を調べるように依頼されたポン(金城武)が真相に近づいていくと、意外な人物が浮上してくる。

cop01.jpg cop02.jpg cop03.jpg

観ている時に思ったのは、悪・罪に対する考え方、復讐の正義罰と赦し
そして、物事の描き方の順序への違和感からはチャン・ドンゴンの『タイフーン TYPHOON』を思い出しました。

とても基本的な事ですが、登場人物の行動が許せるか許せないか、共感出来るかどうかで映画の印象はガラリと変わると思います。
物語の描き方の順序については、ドラマ的、映像的にそうしているのだと頭では理解出来ていても、心はついて行けないというか。
始まりの辺りの凝った映像も、ちょっとわかりづらくて余計な気がしました。

『インファナル・アフェア』のようにシビレさせて欲しいと、どうしても期待感が大きくなってしまうというのもありますが、『ディパーテッド』に続きレオナルド・ディカプリオでのハイウッドリメイクが決定しているというのも?な感じ。でも、この映画に関してはハリウッド映画の方が面白い作品になるかもしれないと思いました。

cop04.jpgフォン役でスー・チーさんの役柄、色んな表情や仕草がとてもキュートで印象に残りました。
スクツァン役で「中国四大女優」の一人と呼ばれるシュー・ジンレイが出演。
『インファナル・アフェア』シリーズや『頭文字[イニシャル]D THE MOVIE』でお馴染みのチャップマン・トーが似たような役柄で出ているのがファンには嬉しいですね(*^-^)

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アンドリュー・ラウ&アラン・マック監督作品を観る度に、インファナルのあの感動を再び味わいたくて、何度も見返したくなります。



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posted by bakabros at 09:59 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(18) | 外国映画

2007年07月02日

『不完全なふたり』

男と女は果たして“完全なふたり”になれるのか? それとも“不完全なふたり”だからこそ惹かれ合うのか。二人の間の微妙な心のやり取りを、ゆったりとした沈黙と、痛い程リアルな台詞で表現する、『不完全なふたり』

ucp01.jpg友人の結婚式に出席するため、パリへやってきた結婚15年目の夫婦、マリーとニコラ。周りからは理想のカップルとして見られているが、二人はすでに離婚を決めていた。パリ滞在中の数日間にも度々口論を繰り返す二人。二人はどうやって別れを迎えるのか? それとも完全なふたりになることができるのか……。
ヨーローッパで圧倒的な人気を誇り、『パリ・ジュテーム』に日本人として唯一参加し、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォーを演出した諏訪敦彦監督の4年ぶりの長編最新作。

諏訪敦彦監督の作品を観るのは初めて。日仏合作映画ですが、オールフランスロケ、全編フランス語で、「フランス映画」に持つイメージそのままのようなフランス映画でした。

ucp02.jpg冷えきった二人の関係を、もの凄くリアルににじませる、何気ない仕草やほんの短い台詞に、ドキッとさせられます。
始まりのホテルでの会話でも、二人で居ることのぎこちなさが、些細な言葉と動きで表現され、その痛みが伝わってきて観ているこちらまで辛くなってくる程です。

そのリアルな空気感は、完成された脚本を使わず、キャスト・スタッフとのディスカッションから映像を紡ぎあげるという諏訪監督の独特の演出方法からきているようです。

台詞がリアルといっても、映画全体からみると沈黙の場面の方がずっと多いかもしれません。そんな沈黙の中、交わされる会話・言葉の1つ1つがとてもリアルで、真意をつくものである為に、沈黙と台詞の両方がお互いを引き立て合って効いてくる。
この映像体験は独特のものがありました。息詰るようなマリーとニコラの関係を、観ている方も一緒に味わって、覗き見しているような感覚。

ucp04.jpg一番驚いたのは、監督が実はほとんどフランス語がわからないという事。
そして、リアルだった台詞についても、監督にとっては“触媒のようなもの”で、台詞の意味よりは“音響”として受け取り、1つの素材に過ぎないと考えているのだそうです。歩き方やせきばらい、服のしわと同じくらい重要だけれど、それ以下でもそれ以上でもないという事でしょうか。
そんな監督の考え方と、脚本を使わないという演出方法だからこそ、このようにひたひたと心の内側に押し寄せてくるような、映画自体が呼吸しているような作品になったのかなと思いました。

諏訪敦彦監督の『H Story』に続き、撮影/アーティスティック・ディレクションのキャロリーヌ・シャンプティエが、ほとんど共同演出に近い仕事をしていたというのも、この映画の魅力の源にあるのかもしれません。

マリー役は『ミュンヘン』『ぼくを葬る(おくる)』『明日へのチケット』のヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。
ニコラ役には『恋ごころ』『スパイ・バウンド』のブリュノ・トデスキーニ。
共演にナタリー・ブトゥフー、ジョアンナ・プレイス、ジャック・ドワイヨン、アレックス・デスカス。
一見ストーリーと関係ないように見えるシーンでも、目を引きつけて離さない、主演の二人が持つ雰囲気もとても良かったです。


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posted by bakabros at 12:53 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(5) | 外国映画

2007年06月29日

『シュレック3』

『シュレック』は日本語吹き替え版で観て、それなりに面白かったのですが、濱ちゃんの関西弁がどうしても気になりました。
『シュレック 2』は字幕版で鑑賞。“1”と同じくおとぎ話をひたすらコケにするブラックユーモアにはついププッ! ハハッ(^○^) と笑わせられました。
シュレック&シュレック2 シュレック&シュレック2

シュレック 3 シュレック 3
そしてついに三作目となった『シュレック3』。字幕版での鑑賞でしたが、今回はシリーズ物の辛いところが裏目に出ちゃったような感じで、どうも今ひとつという感じでした。
ストーリーのベースはシュレックが“遠い遠い国”の後継者探しの旅に出ることと、フィオナの妊娠。後継者となるアーサー探しの旅も、アーサーのバックグラウンドとか、何かとってつけたようで、すんなりとお話に入り込めませんでした。
そして見所の1つはシュレックとフィオナの赤ちゃんが一体どんな顔をしているのか!? というコトでしたが、これも、観る前にネットやTVCMなどでチラッと見てしまったので楽しみも半減。せめて公開日前まではシークレットを通して欲しかったですね。
アクションシーンはパワーアップしていますが、それがそんなに必要だったのかどうか??

shrek.jpg何も起きなくてもいいから、おとぎの国の色んなお話の主人公たちともっとどうでも良いことを喋くり合ったり、それぞれのキャラの魅力をもっとフューチャーして欲しかった気がします。
←こういうシーンが楽しいのでもっと沢山見たかったです。
白雪姫の活躍シーンのようなちょっとした見せ場が、もう少し他の登場人物みんなにもあれば、もっともっと面白くなったのではないかなぁと思いました。

今回声の出演の注目はジャスティン・ティンバーレイクでしたが、もとのキャラクターがどんな人なのかよく知らないので、声だけ聞いてもやっぱりよくわからなかったです(^_^;)
監督は今回長編映画初となるクリス・ミラー。『マダガスカル』に声で出演していたそうです。『マダガスカル』は結構面白かったです。感想はこちら。
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人気キャラ・ペンギン達のDVDでしか見られない短編映画が観たくてたまりません(*^-^)☆

シュレック3―the movie novel シュレック SHREK
シュレック3―the movie novel映画のノベライズ本 シュレック SHREK
シュレックの顔は、いつまでたっても慣れません(^▽^;) 可愛いのかなぁ? 可愛くないよなぁ、とずっと自分に問いかけながら観ていました。

ドリームワークス・アニメーション・ボックス
ドリームワークス・アニメーション・ボックス
『アンツ』なんて『バグズ・ライフ』のマネじゃん! と今まで観ていませんでしたが、『シュレック』『マダガスカル』でドリームワークスを見直した今、ちょっぴり観てみたいです。ウディ・アレンにジーン・ハックマン、クリストファー・ウォーケンにダン・エイクロイドという豪華な声の出演者にも興味津々(゜○゜)!

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posted by bakabros at 17:32 | 東京 🌁 | Comment(6) | TrackBack(14) | 外国映画

2007年06月27日

『ダイ・ハード4.0』

『ダイ・ハード4.0』って、「だいはーどふぉー」なんだ。じゃあ“4.0”の“.0”って一体……。なぜ今更、12年振りの『ダイ・ハード』なの?? とあまり期待せず観たのですが、あらあらビックリ。最近観たアクション映画の中でも群を抜く、「そこまでやるか!?」という物凄いアクションシーンの連続に笑ってしまいました(^○^)

ダイ・ハード4.0 (出演 ブルース・ウィリス) ダイ・ハード4.0

diehard01.jpg52歳のブルース・ウィリスはさすがに老けた感がありますが、段々、ジョン・マクレーンの性格や『ダイ・ハード』のテイストを思い出して観ている方もノって来ます。
過去三回の功績を考えると、現在の状況がちょっと寂し過ぎる気もしますが、未だ一刑事のジョン・マクレーン。いつも運の悪い、不死身の男健在。
観ている間、何度もチビ・ブルース・ウィリスのそっくりさんを思い出してしまい笑えました。ヘンなとこ似てるんだよなぁ(⌒〜⌒) でも今回はタンクトップじゃなかったよ。

diehard02.jpg全てがデジタル制御された現代。そのシステムがサイバーテロによって攻撃され、全米のインフラがストップし米政府も機能しなくなり、想像を絶する大混乱に陥る。
今回のテーマの「デジタルvsアナログ」。いつまでもあか抜けないブルース・ウィリスそのまんまという感じで、良い所に目を付けたなぁと思います。デジタルの閉塞感に、アナログ男・マクレーンが立ち向かい力技で粉砕して行く気持ち良さ。
見ようかなと思っている人は、是非劇場でどうぞ。アクションシーンは凄過ぎて笑ってしまいます(^○^)

diehard05.jpg監督のレン・ワイズマンは元々熱狂的な『ダイ・ハード』ファンで、高校時代に16ミリで自作の『ダイ・ハード』短編を作り、自らマクレーン役を演じたほどのマニアで、シリーズの台詞を全部覚えているのだとか。監督からのラブコールで始まった企画かと思いきや、ブルース・ウィリスが娘と一緒に観た『アンダーワールド』でレン・ワイズマン監督の才能を目に留め、オファーしたというのも面白いです。
そんな『ダイ・ハード』オタクに監督して貰ったこの作品は、『ダイ・ハード』への愛で溢れています。だからあんなに勢いと迫力があったのか、と納得。
ブルース・ウィリスは道ばたでですれ違う人に「次の『ダイ・ハード』はいつ?」と聞かれて来たそうで、イメージというのもあるかと思いますが、みんな『ダイ・ハード』が本当に好きなんですね(^^)

diehard03.jpgブルース・ウィリスは最近観てないな、やっぱり『ダイ・ハード』シリーズの印象しかないかも、と思っていたら、『ラッキーナンバー7』とか『シン・シティ SIN CITY』とか出てるんですよね。観ている時は印象深いのにすぐ忘れてしまいます。『シン・シティ』の時は別人だったし。

ハッカー役のジャスティン・ロングは、初見と思ったら『ハービー 機械じかけのキューピット』のリンジー・ローハンのパッとしない彼氏だったんですね。
細い顎と肩のラインがいかにもといった感じのハッカー役なので、影薄いかと思いきや、ブルース・ウィリスを相手に堂々とした演技で、なかなか良かったです。(「ジャスティン・ロングって誰?」と思った方、実はこんな人。

diehard04.jpgクリフ・カーティス『サンシャイン2057』も良かったですが、良い顔してますね〜。
マギー・Q『M:i:III』に続き、良い役ですね。アクションも頑張って、ブルース・ウィリスにガンガンやられまくっていて気持ちよかったです。
ジョン・マクレーンの娘役、どこかで見た大きな瞳は、『ファイナル・デッドコースター』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。ふてぶてしい感じがぴったりでした。

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posted by bakabros at 08:54 | 東京 🌁 | Comment(2) | TrackBack(32) | 外国映画

2007年06月16日

『ハリウッドランド』

ハリウッドの象徴ともいえる丘に掲げられた「HOLLYWOOD」の看板は、元々『HOLLYWOODLAND』ハリウッドランドだったが、“13文字”であることが不吉とされ、現在のものに変更されたとの説がある。

hollywoodland.jpgスーパーマンは、なぜ死んだのか?
1959年6月16日、ひとりの俳優がハリウッドで死んだ。
現在も未解決のまま“伝説”となった事件を独自の切り口からサスペンスフルに描き出す衝撃のミステリー。
映画を見る前まで、TVシリーズのスーパーマン役者の話だという事もよくわかっていませんでしたが、予告編がとても良く出来ていたと思います。
死の影とその裏に立ちこめるハリウッドの陰謀を予感させる予告編に興味を惹かれていました。

hollywoodland1.jpg映画は、世界一有名なスーパーヒーローを演じる俳優ジョージ・リーヴス(ベン・アフレック)の苦悩と、彼の死の調査に乗り出した私立探偵シモ(エイドリアン・ブロディ)が、次第にハリウッドのタブーへと足を踏み入れて行く過程が交互に描かれます。
もっとハリウッドの内幕を暴き出すような、衝撃的な生々しいストーリーを想像していたのですが、その辺りは意外とサラッと描かれていました。サラッとといっても、血なまぐさい事件も出て来ますが、遠い国のゴシップ雑誌を読んでいるようで、どうもピンとこない感じ。アメリカではその辺り周知の事実なのかどうかわかりませんが、「そんな事もあり得そうだな」と素直に納得してしまいました。
共感も感情移入もしづらかったのは、そもそもTVシリーズのスーパーマンに思い入れがないからなのかもしれません。

長編映画初監督のアレン・コールターは、TVシリーズ『SEX and the City セックス・アンド・ザ・シティ』『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』『ミレニアム』『Xーファイル』などのエピソードを担当をしていたTV界の精鋭監督。

hollywoodland2.jpg事件の鍵を握る映画会社MGMの重役夫妻をダイアン・レインとボブ・ホスキンスが演じていますが、この二人が凄く良かったです。
ダイアン・レインは美しく年齢を重ねていて、とても魅力的に輝いていました。迫力ある存在感。
ボブ・ホスキンスも、裏の顔を持つ男の凄みのある演技がとても良かったです。
ベン・アフレックは本作でヴェネチア国際映画祭の最優秀男優賞に輝いたそうですが、元々彼が苦手なのもあって、なんだかずっと入り込めませんでした。

途中からエイドリアン・ブロディ演じる探偵シモの話になってしまったのが少し中途半端で消化不良でしたが、ジョージ・リーヴスがスーパーマン俳優としてしか認められず、俳優として新たなステップへ進みたいのになかなかそのチャンスがなくて苦悩する場面や、プロレス興業しか仕事の依頼がないとか、そういったハリウッドの裏側については興味津々で面白く観ました。

現在も未解決の事件なのでこういう描き方になるのは仕方ないとは思いますが、もう少し一歩踏み込んで、斬新な新説を提示して欲しかった気もします。

未解決事件の映画化という事でポン・ジュノ監督の韓国映画『殺人の追憶』を思い出しました。
殺人の追憶 『殺人の追憶』

ミクロマン ミクロアクション スーパーマン(映画リターンズ版) ミクロマン ミクロアクション スーパーマン(映画リターンズ版)
TVシリーズのスーパーマンが死んだ時の、アメリカの子供たちへの衝撃の大きさに、改めてこのスーパーヒーローの偉大さを感じました。

映画「ハリウッドランド」オリジナル・サウンドトラック
オリジナル・サウンドトラック・スコア「ハリウッドランド」

カチンコエイドリアン・ブロディ、ベン・アフレック出演作品の感想記事
キング・コング』『ジャケット』『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい

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posted by bakabros at 15:35 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(5) | 外国映画

2007年06月09日

『プレステージ』

prestige.jpg「この作品はトリックそのもの。騙されるな。」という挑戦的な監督の言葉や、世界幻想文学大賞を受賞したクリストファー・プリーストの傑作小説『奇術師』の映画という事で興味津々で鑑賞した『プレステージ』(『THE PRESTIGE』)
プレステージ【Prestige】とは、一流のマジシャンのみが行き着ける、マジックの最終工程。もとはフランス語の「幻惑、奇術、詐術、偽物、魔法、魅惑、etc.」から、やがてその意が転じ「偉業」「名声」「威光」を表す。

『バットマン ビギンズ』『メメント』のクリストファー・ノーラン監督・製作・脚本。
クリストファー・ノーラン監督は、人を幻惑させるのがお好きなようですね。これは原作物という事もあり、きちんと作られている印象で、『メメント』のようなで不安定でオリジナルで、翻弄されるような変な面白さはあまり感じられませんでしたが、“イリュージョン・エンタテインメント”というよくわからないコピーがぴったりくる感じでしょうか。

prestige02.jpg実は、この映画をみる何日か前に、他の映画の試写会場で、二人の女性が『プレステージ』のオチそのものについて延々と議論を続けているのを偶然耳にしてしまい、あるとんでもないキーワードを聞いてしまった事によって、映画のトリックそのものを観る前から知ってしまっていたという残念な鑑賞になってしまいました。
初めはなんの映画について語っているのかわからなかったのですが、キャスト名とか話の内容で『プレステージ』だとわかり、その時にはもう遅かったんですね。とんでもない話です。余程「これから観るのでやめて下さい」と言いたかったけれど、もう聞いちゃったし……(>_<;) 映画鑑賞前に、とんでもないケチがついてしまいました。
なので、映画を観ていてもそのトリックはすぐにわかってしまうし、後はストーリーを追って行くだけ。でも、結構わかりやすく見せていたように思うので、普通に観ていて、すぐにトリックを見抜けた人も多かったのではないでしょうか?
それとも、なんとなくオチを知っていたからこそすぐわかったのかな??

prestige01.jpg主演のヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソンは三人ともとても良かったです。
ヒュー・ジャックマン『X-MEN』シリーズのワイルドなイメージを覆す、19世紀の英国紳士をキリッと演じていました。
クリスチャン・ベイルは、相変わらず役柄になりきっていて、彼が登場すると、そのどのシーンでもグッと引き込まれます。
スカーレット・ヨハンソンは、二人と繋がるマジックのアシスタント・オリヴィア役。あくまで二人を引き立てるような役所ですが、その美しさと魅力は充分に存在感を発揮しています。ストーリーがどちらに転ぶのか、彼女の演技次第で印象ががらりと変わるような重要なシーンでも、解釈の幅を持たせながらしっかりと脚本の真意を伝える確かな演技には唸りました。脇役でも鮮烈な印象を残していたと思います。
イギリスが舞台の映画には欠かせない? マイケル・ケインのそつのなさ、デヴィッド・ボウイの怪しさも良かったです。

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 『〈プラチナファンタジイ〉 奇術師』 
なんとなく、映画で映像的に見せられるよりも、小説の文章からストーリーを追っていった方が、迫力がありそうな気がしました。

カチンコヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、スカーレット・ヨハンソン、マイケル・ケイン出演作品の感想記事
X-MEN:ファイナル ディシジョン』『バッドマン ビギンズ』『ブラック・ダリア』『ママの遺したラブソング』『マッチポイント』『アイランド』『奥さまは魔女

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posted by bakabros at 11:19 | 東京 ☁ | Comment(10) | TrackBack(33) | 外国映画